【多重債務者と呼ばれて】 借金する前に読むべき物語!③

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雪だるま式に増える借金

 

大屋のおじちゃんの襲撃が恐ろしいので、おじちゃんが寝るであろう23時までは部屋ではいつも電気を消して生活しておった。

家賃も貯まってくるし収入では間に合わないし、別で家庭教師のアポ取りバイトを始めてみるも、金を払ってもらえないしで生活がままならない。

 

私は、ギャンブルなどは一切やらないのだが、精神的にも不安定で、仕事も行ったり行かなかったりの生活となり、
収入が少ないくせに借り入れが大きく、一年ほどで借金はかさみ、
銀行とは別に、金融会社四社から50万円づつの借り入れをするに至った。

家賃は、おじちゃんの襲撃を避け、おばちゃんに許す方式で、10か月の滞納となっていたのである。

 

幼馴染のNの借金地獄

 

一緒に上京し、一緒のピザ屋で働いていたNは、ピザ屋閉店後に、オーナーが変わったものの同じピザ屋で働いたが、
新しいオーナーというのが、金払いの悪い中年おばさんで給料を払ってもらえず、仕方なく運送会社に転職したのだが
運送会社で交通事故を起こしてしまい、その分の負担の大部分をNが負担させられることとなり、昼は運送会社、夜はコンビニでバイト
で寝る時間もないほどの働きづめとなった。

私も私で食事もまともに取れない状況に陥っていたが、Nがコンビニの廃棄の食糧を分けてくれるので
なんとかかんとか飢え死にせずに住んでいた。

人間、そういう状況になると、欲しいのは甘いものになる。

 

 

ある時、Nの働くコンビニの裏で二人で廃棄の食糧を山分けしておると、
一個のイチゴスペシャルという半月型のパンが目に留まった。

私がそれを自分のものにしようとすると

 

「それは俺が食うつもりだったんだ!」

 

「うるせえ!」

 

と大の大人が本気で胸倉をつかみ合い、ひとつのパンをあさましく奪い合ったのである。

貧乏もここまでくると目も当てられない。

 

Nの驚愕バイト

 

その後、Nが、どこからか男相手のホストのようなバイトを見つけてきた。

 

「お前、そんなもん大丈夫か?」

 

と聞くと

 

「話を聞いてきたが、基本的には水割りを作って話を聞くのがメインの仕事」

 

「肉体関係を迫られることはあるにはあるらしいが」

 

「口説かれたら、どう逃げるかは君のテクニック次第だと言っていた」

 

「その辺のテクニックには自信があるし、金も儲かるしなんでやってみる」

 

「よかったら岡村にも紹介する」

 

と言って仕事に行った。

 

あとで聞いたのだが、その日、Nはその店に行き店長と呼ばれる男から

 

「お前は今日から〝翼〟だ!」

 

と、翼という源氏名をもらい、白いジャケットを着せられた上でポラロイド写真を撮られ、店のアルバムに張り出された。

 

さっそく中年オヤジから指名を受け、コップに水割りを作り、マドラーでかき回していると
中年オヤジがパンツを脱いだので

 

「ちょっとお手洗いに」

 

と言って、丁寧にお辞儀をし、その足でダッシュで店を出てきたという。

 

「だから、俺の私服とポラロイド写真は、まだあの店にあるよ!」

 

と笑っていたが、携帯なども停まっており、一切連絡のつかなくなったNの兄が私に連絡をくれ
Nの状況(男性相手のホストの話はしなかったが)を話すと、東京に駆けつけて
そのままNを実家に連れ戻してしまった。

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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