【多重債務者と呼ばれて】 借金する前に読むべき物語!

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お部屋探しは慎重に!

 

上京後のアパート探しの際、私と入れ違いで地元に戻ってきた昔のバンド仲間のギターのKに相談したところ、
Kの友人の住むアパートの隣の部屋が空いているという。

 

その部屋は、

 

「郊外ではあるが」

 

「京王線に乗れば新宿まで電車で一本。特急だったら20分。」

 

「その上、駅チカ。駅まで徒歩3分」

 

「ユニットバスだがバス・トイレ付、ロフト付き、6畳ワンルーム」

 

「家賃、共益費込みで45,000円」

 

「敷金礼金一か月づつ」

 

という。

 

東京の土地勘などは、全くないし、Kの友人が隣に住んでいるというところもなんだか安心できる。

 

それじゃあっていうんで、その部屋に住むことにした。

 

引っ越しを手伝ってくれた両親が一晩泊まっていったのだが、

 

「なんかここ本当に東京か?」

「うちの方が都会じゃないか?」

 

というくらい寂しい街並み。

大屋さんはアパートの隣に一軒家に住むおじちゃんとおばちゃんで、
毎月、直接支払うシステム。

 

 

東京で初めての友達

 

隣室のKの友人はギタリストで、ひょろひょろの男。

ポテトチップスを持ってきて

「洗濯機かして」

と言うので、貸してやり、洗濯機が動いている間中バカ話をするようになりすぐに仲良くなった。

 

で、住んでみて分かったのは、あくまで木造であり、壁もあくまで薄く
隣室の友人のクシャミや咳払いなどはもろに聞こえる。

 

テレビを観て笑うと、隣室からも笑い声が聞こえてきて

 

「あいつも同じ番組観てんだなー」

 

と言う、なんとなくプライバシーもへったくれも無い感覚となる部屋。

 

次に駅チカの件だが、たしかに駅まで徒歩3分だが、JRとか京王線とかいうメジャーな路線の駅ではなく

 

〝西武是政線〟

 

という、東京に住んでいるものでも知る者は滅多にお目にかかれない、JR中央線の武蔵境駅から多摩川競艇まで走る
レース開催日に競艇場へお客を運ぶためだけにあるような短い路線で、電車の本数は当時は(多分今も)極端に少ない駅。

 

 

周りには民家以外なんにもなく、しばらく歩くとコンビニがやっとあるような街。

まあ静かでよさそうなもんだが、競艇のレース日ともなるとアパートの横の道までが大渋滞。

自転車で通り過ぎることも困難な状況となる。

また競艇のお客もガラが悪く、道端で飛んでもない賭博行為なんぞをしておる。

 

「でも、家賃は安いんで」

 

と辛抱して生活していた。

 

友達、キャバクラで働く

 

隣室の友人は、しばらくするとキャバクラのボーイとして働き出した。

そういう店で働くことを心配すると

 

「うちの店は、ヤ〇ザとかと無関係だから大丈夫!」

 

と言っていたが、数日すると

 

「結局、ヤ〇ザでした!」

 

と言い、また数日すると店の女の子と同棲し始めた。

 

「そういう店の女の子に手を出したりして大丈夫か?」

 

と聞くと

 

「バレなきゃいいから!」

 

とカラッと笑っておったが、数か月するとその女の子は妊娠し

 

「結局、バレました!」

 

と言って、夜中にどこかから軽トラを借りてきて

 

「これから逃げます!」

 

と言って荷物の積み込みを手伝ってやり

 

「それじゃ!短い間だったけど!」

 

と二人でどっかへ夜逃げしてしまった。

 

東京で初めてできた友達だったので寂しかった。

 

次に隣の部屋に沖縄出身というお婆さんが引っ越してきて
物干しざおで干し柿を作ったりしていたので

 

「俺の思い描いた東京と随分違うなあ」

 

と思うのだった。

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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