【青森→札幌】貯めた金をすぐに使い切る方法 3/3

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連日連夜のススキノ通い

そうして始まった私のススキノ生活は、夜の店に連日連夜通い詰めておった。

「一度、同伴出勤をしてみたい」

と思い、同伴出勤をし

「なんだこんだけのもんかよ」

と思ったり、開店から閉店まで居続けると言ったことをしておった。

キャバクラでは、1セット何分だかの決まりがあり、その時間終了間際になると男性店員が寄ってきて

「お時間ですが延長どうしますか?」

的なことを聞いてくる。

キャバクラはタチが悪いもので、いつまでたってもキリがいいタイミングなんてもんはなく、金と時間さえあればずっと居たくなってしまうもんである。

幸いというか、金も時間も有り余ってたもんだから近寄ってくる男性店員に

「いちいち聞きに来なくても大丈夫ですよ」

「ラストまでいるから少し割引いてよ~」

などと答えておった。

現金がない状態でキャバクラに居続けるということ

ある日、同じようにキャバクラに行き、1セット終了間際に男性店員が近寄ってきて、延長の有無を聞いてきた。
その日は、銀行から金を下ろすのを忘れて財布の中が延長をするほど余裕が無かったので

「今日はもう帰ります」

と言うと

「そんなこと言わずに~」

と言う。

「でも、金がないからさ、コンビニで下ろせばあるけど」

と言うと

「閉店してから、コンビニまでついていきますよ、で、そこで払ってくれればいいですから」

と言うので、

「物分かりのいいひとだね」

などと言って、結局ラストまで居続けた。

 

閉店後にコンビニATMへ行く

店が終わり、泥酔状態で店の店員二人に付き添われてコンビニのATMに行き、ATMにキャッシュカードを挿入すると

〝時間外につきお取り扱いできません〟

と表示される。
たまにある、なんか営業時間的な問題で、翌日朝まで金が下せないヤツである。

「やばっ」

と思うが、初めてきた店ではないし、なんとかなるだろうと付き添いできた男性店員二人に

「あのさ、翌日まで下ろせないくってさ」

「明日また金持ってきますわ」

と告げると

「ああ、大丈夫ですよ~」

と言って、某サラ金の無人契約機に連れて行こうとするので

「ワッハッハッハ!」

と笑って

「あの、俺さ、この会社に過払い金訴訟を起こしてるから、この会社、もう貸してくれないよ~」

「っていうか、明日持ってくるからさ~」

と言うが、

「やばいですよ、こいつ」

「こいつ、ヤバイやつですよ」

などと抜かしながら、私を閉店した店へと連れていく。

すると電灯が明るくなった店の中で、付き添いの二人から話を聞いた寺島進そっくりな兄貴的な店員が出てきて

「金がないそうですねえ」

などと言う。

※写真は寺島進。

閉店したキャバクラ内にて

こっちも酔っぱらって気が大きくなっているし、そもそも銀行の都合で朝まで払えないだけなのに、まるで無銭飲食扱いであることに腹が立ち

「あのさ、さっきからヤバイ奴だかとかなんだとか言ってるが、失礼だろ、泥棒扱いするんじゃねえよ」

「そもそもコンビニまでついてきて払えばいいっていったのはそっちだろ」

「だいたい、また朝になりゃ払うっていってるだろうが」

「逃げると思ってるなら、ここで泊めてくれよ、駄目ならお前らの寮でもなんでも連れてってくれよ」

というと

「兄貴、どうしますー?」

などと店員同士の話し合いがしばらく続いた。

で、結局、運転免許、保険証、携帯電話を店長と名乗る男に預けさせられて、その日は解放された。

翌日、夕方、店舗の開店と同時に支払いをし、預けたブツを取り戻した。

お客の上中下

落語の世界では、そういう店で働く女性からすると客には〝上中下〟があり、

『上は来ず、中は昼来て昼帰り、下は夜来て朝帰り、そのまた下は居続けをし、そのまた下は居残りをする』

なんて言われるので、そういう意味ではちょっと金を得たからといって、そういうところに通い詰め、結果居残りをしてしまった私は、今考えれば、まったく、無粋なことをしたもんであると反省している。

 

とまあ、こういった生活を半年も続けると、あっという間に貯めた金などはなくなるのである。

まかり間違えば私もアニータの夫のようなことになっていたのかもしれないなあと怖くなる。

血気盛んもほどほどに。

男性諸氏はご注意ください。

 

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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