【自分で恋愛アシストが上手いという人は・・・】ポンコツの後輩との思い出②

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店に入る

店に入り、後輩と二人で席に座っていると私の恋する店員さんが私たちのテーブルにやってきてグラスを取り換えにやってきた。

彼女と軽く挨拶を交わすと、別のテーブルへと移って行ったので、後輩に

「あの人が例の人だよ」

と言うと

「分かりました。任せてください」

と言って私の胸を思い切り殴って

「この幸せ者!」

「幸せ者~~~ッ」

と言いながら私の首を絞めるような30年前のギャグのようなことをし出したので、少しムカつき、こいつをこの店に連れてきたことを後悔し始めたのである。

後輩の言う、恋愛アシストとは?

で、また飲んでいると再び恋する店員さんがグラスを取り換えにやってきた。

その途端、後輩は、それまでの話とは一切関係なく、急に大声で

「いやっ!岡村さん!」

「岡村さんにはホント、いつもお世話になって!」

と握手を求めてきたのである。

訳が分からんがとにかく握手を返したが、それを黙殺するかのように恋する店員さんは別のテーブルへ移っていった。

突然、なんのことかわからんのであっけにとられたが、店員さんが去って言ったら、何もなかったかのように後輩はさきほどまでの続きの話をし出したのである。

『いったいなんだったのだろう?』

とは思ったが、次の恋する店員さんがテーブルに来たタイミングで、再び後輩が急に大声で

「いやっ!岡村さん!」

「岡村さんにはホント、いつもお世話になって!」

「いや、マジでお世話になりっぱなしで」

と言ったところで、こいつの言う恋愛のアシストとやらが、せいぜいが、この人は、自分がお世話になっている先輩であるということを大声で言うだけのことであることが分かり、私は人生史上最大の苦虫を噛みつぶしたような表情となり、目じりはピクピクとし、そのまま後輩の首根っこを掴むようにして立ち上がり、店をあとにしたのであった。

後日談

この後輩は数年後結婚し、現在は二児の父となり幸せな家庭を築いているので、他人の恋愛をアシストする才能は無かったが自分の恋愛をうまくいかせる才能はあったのである。

 

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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