【いけないナイトプール】真似するとケガします!1/3

ハロルド作石先生作品の影響

 

漫画家のハロルド作石先生とは全く面識はないが、同郷で、中学校の6年先輩であることもあって、勝手に親近感をもち、もちろん作品がとてつもなく面白いのが前提だがデビュー作の『ゴリラーマン』から全作読んでいる。

 

彼の、映画化もされた『BECK』というバンドを描いた作品の連載が開始されたころ、この作品の中に夜、学校のプールに忍び込んで憧れの女性と泳ぐ美しいシーンがある。

そんな経験は自分にはないのだが、周りの友人に聞いてみるとみんな嘘か本当かしらないが、夜の学校のプールに忍び込んで泳ぐことは一回ぐらいは経験があるという。

私がアホであることをこのブログを読んでいる人は全員しっていると思うが

(知っています)

アホ故、何事にも影響を受けやすく、

 

「俺は工業高校で、学生生活にはそんな思い出はなかった!」

 

「俺も夜のプールで泳ぎたい!」

 

「青春を取り戻す!!」

 

と、思っていたところ、夜に散歩をしていたら、ちょうど季節が夏であり、当時住んでいた都内某市の屋外市民プールがあったので絶対にやってはならないことなのだが、くれぐれも、絶対にやってはならぬことなのだが、衝動的に忍び込むことにした。

(アホ)

 

一応、誰か見ていないか周りを見渡す。

人はいなかったが、プールを取り囲むフェンスに

 

〝このプールは24時間機械監視されています〟

 

とプラスチック製の注意書き看板が掲げられている。

 

プールに忍び込んではいけません!

 

改めて辺りを見渡すが、機械で監視しているようにはとても見えない。

 

「機械監視?」

 

「面白い」

 

「ロボコップ呼んで来い!」

 

などと訳のわからんことを思い決心を固めたが、フェンスの上には案の定、鉄条網が張り巡らされている。

 

 

フェンスを掴んで一歩一歩登っていきながら

 

「ノーロープ」

 

「有刺鉄線」

 

「電流爆破」

 

「デスマッチ」

 

などと恥ずかしながら大仁田厚直撃世代として、口にしつつ頂上へ到達。

多少の鉄条網での傷には目をつむり、フェンス頂上からプールサイドへ

 

「飛翔天女!」

 

などと言って、飛び下り、足を負傷しながらも着地したのであった。

 

(つづく)

【舞台観劇ビギナー】 はじめての観劇のマナー

初めての観劇

 

15年ほど前、知人の出演する劇団の芝居を観に誘われ、行くことにしたのだが、お芝居などは「ワルのポケット」とか「うりどろぼう」だとかいう子供向けのを小学校の観劇会で観た以来であり

 

「芝居っていうのはあれだろう?」

「歌舞伎とかみたいなのでしょう?」

 

と思って、

 

「ビールのみながら、弁当つつきながらみるべ」

 

と、途中のコンビニで弁当、ゆでたまご、ビール(500ml×2)を買い込み劇場へ着いた。

劇場は小ぶりな貸しホールに、十字型のステージが組まれ、その十字の空いたスペースに観客が座るというもの。

 

さすがに私も、

 

「これは、歌舞伎と違うべ」

「弁当食える雰囲気ではないべ」

 

と弁当を断念。

とりあえず、十字型ステージなため、変則的な客席であり、

 

「すいません」

「すいません」

 

と五六人に頭を下げ、少し膝を曲げてもらって廊下に出、そそくさとお手洗いにいき、個室に入ってビール500ml缶×1を一気飲み。
ゆでたまごを貪り食った。

我ながらおぞましい。

 

残りの一本がどうしても飲みたい

 

 

自席に戻って開演をまっていたが、少し酔いが回ってきて、残りのビールがどうしても飲みたいが、再びお手洗いに行くにはまた、すいません、すいません式で行くのも億劫で

 

「この席で飲んじまえばいいっぺ」

「劇が始まる前に飲んじまえばいいっぺ」

 

と思ったが、十字型のステージなので、15メートル先にも向かい合うようにして観客がおり

 

「飲んでるとこ見られるの恥ずかしいべ」

「アル中と思われるべ」

 

となる。

 

(っていうか、なんでこんな変なステージなんだよ!)

 

と多少腹が立ったが、仕方なくジャンバーの下で

〝プシッ〟

とプルトップをはがし、逮捕された犯罪者のようにジャンバーで顔を隠し、

〝グビビビビ〟

と残りのビールを一気飲みしたのであった。

 

芝居が終わり、立ち上がると、向かいの観客席からすたたたっと駆けつけてきたのは知人の女性。

 

「あんたが上着に隠れてビールのんでるの、私の友達もみんな見てて爆笑してたのに気が付かないの!?」

「まったく恥ずかしい!」

 

といった具合に叱られてしまった。

 

私はこのとき、自分では隠れてるつもりでも結構みられてることが多いということと、劇団の芝居は歌舞伎や相撲とは違って、飲み食いしながらみるものでは無いということを知ることとなった。

 

みなさん、くれぐれもご注意を。

新幹線とき311号 あなたならどーする? 後編

車掌さんの切符拝見!

 

最前列の自分の番が過ぎ、いよいよ私の後ろの席の番となる。  

 

すると車掌さんが  

 

「切符をお持ちでないのであれば、購入してください!」  

 

と毅然とした態度で言ったのである。  

 

(怖わあ)  

 

と思うと同時に、  

 

(自由席の切符で指定先車両に来たのではなく、切符自体をもっていなかったんだ)

 

(どうやって入ってきたんだ)  

 

と思った。  

 

 

車内清算は現金のみらしい

 

  一番の弟分と思しきお兄さんが

 

  「じゃあ、払いますよ!」  

 

といって 車掌さんにお金を支払う段になって、車掌から新潟までの三人分の切符代を請求され  

 

「兄貴!この電車、熊谷停まりませんよ!!!」

 

「何~?!!!」  

 

と大声になり  

 

「じゃあ、司会はいったいどーするんだ!!」  

 

と怒鳴ったのである。

 

  (何の司会だよ)

 

(晴れ舞台ってなんだ??)

 

  と思っていると、弟分のお二人がデッキに出て行って 携帯であちこちに電話して平身低頭しているのが見える。  

 

(この後、弟分さんは怒られるのかなあ)

 

  などと思っているところへ、弟分のお二人がお戻りになられ あれこれ都合をつけた旨を兄貴分さんへ報告している模様。  

 

兄貴分さんは寛大で

 

「まあ、仕方がねえや」

「新潟駅で温泉でも入って帰ろうや」

 

と言ったのを聞いて

 

(新潟駅を雪に囲まれた、囲炉裏とか雪のカマクラなんかがそこら中にあるところと誤解してねえか?)

(新潟駅には温泉なんかねーぞー?

 

と思うのだった。  

 

で、結局、新潟までノー・リクライニング、ノー・駅弁で到着して体がバキバキになりました。

新幹線とき311号 あなたならどーする?

朝の上越新幹線

 

何年か前の日の朝、用事で出かけた東京から新潟へ来るために東京駅から新幹線に乗ったのだが、自分の指定席は進行方向に向かって最前列で、足を延ばして座れるなと、楽しみにしていたら、その席に明らかに反社会的勢力と思われるお方がお三方で座っておられる。

自由席の切符で指定席車両に乗ってきたと思われる。

社内はガラガラだったので別の席に座ろうとしたが、このあと乗ってくる人とバッティングしたら私が注意されかねない。

 

まあ、一応、お相手の方たちの機嫌を損なわぬように

 

「あれ?」

 

という顔をさりげなくしながら、

 

「この辺になんか落とし物なかったですかね?」

 

という動きで

 

「あっしが悪いのは百も承知なんですが」

「あっしごときがすいやせん」

 

といった自分を卑下する風情でこっそりウロつくと、一番の兄貴風のお方が

 

「あれ?ここお兄さんの席か?」

 

とお気づきになられたので、

 

「いや、あれ?そう?そうかな?」

「なんかそうみたいです。すいやせん」

 

などとしどろもどろになりながら答えると

 

「いやいや、ごめんごめん!」

「おら、お前ら移動しねえか!」

 

と、後ろに一列ずれて私の背後に座る形となった。
リクライニングなど倒せるはずもない。

 

 

座席をお倒しになられる際は…

 

(針のむしろとはこういうことを言うんだろうな)

 

と思いながら、楽しみに買ってきた駅弁も取り出しにくく

 

(困ったなー)

 

と縮みあがっていたら大宮についた。

お三方が大宮で降りてくれないかと願う。

「今日は晴れ舞台だからな」

「ガハハハッ」

という会話が聞こえてくる。

仮に、お三方が降りられなくても、大宮を出れば新潟まで直通となるので、大宮を出たら、また、さり気ない感じで荷物をもって別の車両に座らせてもらおうと決めた。

 

まもなく新幹線は大宮を離れ、一路新潟へ。

しかし、急に荷物を持ってたちあがるのもお相手の機嫌を損ねる可能性が高い。

(一番のタイミングを見つけねばならん)

(さりげない演技をしなければならん)

 

と思っているところへ車掌さん登場し、

 

「切符を拝見いたします」

 

と言う。

 

あれあれ、この後、どうなっちゃうの?

車掌さんは適当に座っているこのお兄いさんたちをどう対処するの???

 

と半ば怖いもの見たさもあり、切符のチェックの行方を見守ることにしたのである。

 

 

(つづく)

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 4/4 完結編

いよいよ合コン

 

思わぬ寄り道で、21:00ギリギリになったが、幸い相手側はまだ来ておらず、時間に遅れることなく店に入ることができた。

 

フスマを開けて用意されていた個室に入ると、件の後輩(もうヤツと書きますね)が、奥に入っていき壁に背を付けてドカッと座る。

 

「こういう時、俺たちがフスマを背にして座っておくべきじゃないの?」

 

と言うと

 

「ああ、そうか、最近、会社の飲み会では役職の関係で上座に座らせられることが多かったからなあ」

といい、フスマを背にして座りなおす。

いかんいかん

えっへん

とでも言いだしそうな、言い草である。

 

(バカが!)

 

と思いながらオッサン二人で横並びになっていると、ヤツが斜め上をみたままの形で、ポケットから何かを掴み、私の方に向かってテーブルの上をスライドさせるように

 

「あちらのお客様からです」

 

の要領で、何かを投げつけてきた。

 

 

 

私の目の前にはカクテルではなく、GODIVAのクッキーの小袋が5つ。

これは数日前、職場に札幌の営業所の者がうちの職場に来た際に、手土産に持ってきたものである。

なんで、こいつがそれを今ここで私に投げつけてきたのか?

 

ヤツの真意がわからず、GODIVAのクッキーを見つめ、言葉もなく黙っていると、ヤツは斜め上を見ながら

 

「これ、札幌出張に行ったときの土産だと言って、女性陣に渡してください・・・」

 

という。

 

「は?」

 

 

 

よくわからなかったが、つまりは、

〝札幌に出張するほどの男ですって、まあウソですが、見せつけてやってください〟

〝高級サラリーマンの振りして女性の心を鷲掴みにしてください〟

 

などというつもりらしい。

 

「っていうか、なんでGODIVAなの?」

「花畑牧場とか白い恋人とかならわかるけど?」

 

といったが、ポカンとしている。

『GODIVAってなんだべ?』

という顔をしている。

更に

「GODIVAは新潟にもあるだろ」

「で、お土産なら普通、箱で渡すだろ」

「なんでお土産をバラでもってこなきゃならんの?」

「っていうか甘いもので女心は鷲掴みにできるものなのか?」

 

と詰問したが、さらにポカンとしている。

 

『札幌に出張に行く男って、女心を掴めるべ』

 

とでも言いたそうである。

 

(バカが!)

 

と思う。

 

 

いよいよ女性陣がやってきた

 

狐につままれた表情とは、今のこいつの表情のことなんだなと思いながらあきれているところへ女性陣がやってきた。

 

が、相手も私をみる表情からして今回の話はなかったことにしようというのがありありとうかがえる。

こうなれば、今回はこの会を無難に楽しい思い出で終わらせよう。
なるべく私は〝粋〟に済まそう。
会計は、女性陣が気が付かぬうちに済ましておいて、スマートな感じで解散なり二次会に行こうと決めた。

 

女性陣がさっそくメニューを見た直後、見て、何にしようかほんの2秒ほど考えたところで、ヤツが

 

「あ!」

 

「言~っときますけど~!」

 

と節をつけて言い放ち、

 

「今回の支払いは我々男性陣で持ちますから!」

「遠慮せずにドンドン!」

 

と抜かす。

 

今、メニューみたばかりだし、別に遠慮してねーし、高い店でもねーし、無粋極まりないわー

と赤面する思い。

 

で、会話はヤツが主体となり、主に仕事の話を、自分たちが務める会社がいかに大きくて、将来的に安定しているかを、ウソ、大げさ、紛らわしい の広告だったらJAROに相談するレベルの脚色で話して聞かせ、話のまとめでは必ず

 

「ねえ?岡村さん」

 

と私を共犯にしていたが、酔いが回ってからは

 

「そうですよね?アニキ」

 

と柄の悪いところが噴出。

もうこいつとの合コンはコリゴリだと思いながら会は進行。

会計の段になるとベロベロになって、呂律の回らない口調で

 

「アニキ、すいません、金かしてください!」

「給料日には返しますんで!」

 

と言う。

 

何が、ここは男性陣が持ちますだこの野郎、金も持って来てねえんか!

 

と思う。

で、二次会に行って解散した。

その後も、アニキ、アニキと口ばかりのヤツのこの後の行動はどんどんエスカレートしていったのだが、具体的な行動は、本人も記憶がないと言っている上、著しく本人の社会的地位も剥奪しかねないため、割愛します。

 

 

数日後

 

後日、久々に職場で彼と顔を合わせた際、

 

「アニキ、合コンの金の件ですが、後日ちゃんと清算しますんで!」

 

と言ってきたので

 

「金の清算はもういいから」

「お前との関係を清算したいわ」

 

といったのは、あながち冗談ではなかったのだが、半年後の今日も彼はそれがわかっていない模様である。

 

 

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 3/4 古町編 

ようやく居酒屋へ

 

仕事が終わり、二人して店へ向かい、時間よりも15分ほど早く店の前についた。

件の後輩は相変わらずウヒョついておる。

ウヒョつくどころか、ソワソワし出して

 

「アニキ!店入る前に、どっかで一杯ひっかけていきませんか?」

 

などと言い出した。

 

「一杯飲むって、今から一杯飲むんだよ?」

 

「いや、だからその前にビールだけ一杯!」

 

「まあ、別にいいけど、もう相手の人たちくるんじゃない?」

 

と言ったが、耳に入っていないらしく、一人でズンズン歩いていき、よくあるTVが点いている小さな居酒屋に入っていく。

ドカッと席に座ると

 

「生二つ!」

 

などと勝手に、且つ横柄に言い、出てきたおしぼりで顔をゴシゴシと拭く。

おしぼりを首に回して、うなじから耳の中まで、ゴッシゴシゴッシゴシと拭く。

この男にランニングシャツがどうこう言われたことが腹立たしい。

 

顔を拭き終えると、出てきたビールを一気に飲み、叩きつけるようにジョッキを置くと

 

「よしっ!」

 

と言い

 

「ゲフッ」

 

などと漏らしてレシートを掴んで立ち上がり、出ていこうとする。

 

私はまだ一口も口をつけていなかったので、慌ててビールを飲み、後輩を追いかけるようにしてレジへ行く。

で、きっちり割り勘。

 

チャカつき続ける人

 

「よく、一杯だけのもうなんていって誘われることあるけど、本当にこんなに一杯だけなんて、お店の人も驚いていたろうね」

 

と話しかけるが、こちらの話は全く耳に入っておらず、上の空で、ジャケットやズボンのポケットというポケットを叩いたり、かき回したりしながら

 

「えーと、タバコを買っとかなくちゃいかんな」

 

とつぶやき、タバコ屋を探してキョロキョロしている。

タバコ屋は彼のすぐ背後に有ったのでその旨を教えると

 

「ああああ」

 

などと言いながら

 

〝そんなことは言われなくても、そもそもわかってますよ〟

 

というような表情をし、自動ドアにぶつかりながらタバコ屋へ入っていき、タバコを買うと、転げ出るように、再び自動ドアにぶつかりながら出てきた。

 

で、タバコに火をつけて深く吸うと、待っていた私に対し、

 

「アニキなんか緊張してるみたいですね!」

 

「って、おめえだよ!!!」

 

と一喝して、ようやく待ち合わせの居酒屋に入っていったのである。

 

(つづく)

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 2/4 笹口編

突発的な居酒屋の予約

 

さっそく目ぼしい居酒屋に電話するが

 

「満席です」

「個室でなければ」

 

という返事。

中には

「年末の金曜の21時に、前日に個室の予約など、気でもおかしくなったのか?」

と言わんばかりの対応をするお店もあり、讃嘆たる思い。

しかし一店舗だけ、駅からは遠くなるものの、

 

「なんとか9時に前のお客の宴会が終わる予定」

「9時を過ぎて少ししてから構わないなら」

 

というお店があり、どーにかこーにか携帯電話に向かって土下座するように感謝して個室を確保してもらうことが出来た。

 

これで、出来ぬ男から一転、出来る男の烙印を押していただけると、胸をなでおろそうとしたが、

 

「いや、明日、店が見つからなくて迷ったりしては出来ぬ男の烙印を押される」

「下見だ!」

 

と、仕事終わりに一回、翌朝の出勤前に一回、合計二回の下見をしにいったのである。
我ながら涙ぐましい。

 

 

決戦の金曜日

 

さて、迎えた当日、いつものように働き、就業時間が近づいてくると、件の後輩がソワソワしだす。

 

「顔の脂をとるウェットシートありますか?」

 

とか

「整髪料持ってませんか?」

 

とやたら聞いてくる。

この日に備えて持ってきている自分も自分だが、それらを貸してやる。

 

また、何かにつけて、用事もないのに私のところにやってきて、

で、

 

「アニキ、今日は仕事の話はなしで!」

 

などと言ってくる。

そんな席で仕事の話なんかしない。

 

ちょっとするとまたやってきて

 

「アニキ、相手のことを気に入ったかどうかのサインを決めときましょう」

「会話の中に、なんとなく相手の点数を織り込んで話してください!」

そんな高等テクニックは持ち合わせていない。

しばらくすると、またまた思い出したようにやってきて

 

「アニキ、残念なお知らせがあります!」

「何?」

「アニキ、今日、ランニングシャツ着てますね?」

「ランニングっていうか、Yシャツの下はノースリーブの下着だけど」

「ブー!(不正解の音のつもりらしい)」

「女の子は、ランニングシャツはおじさんっぽくて嫌いなんですよ~」

 

ややムッとして

 

「じゃあ、ジャケット脱がないからいいだろ」

 

と言うと、ちょっとニヤけて

 

「じゃあ絶対、ジャケット脱がないでください!!」

 

ビシッ

 

という感じで、私の顔に向かって指をさす。

 

 

だんだんむかついてきたが、その後、コンビニでTシャツを買って着替えた自分にも忸怩たる思いがした。

(つづく)

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 1/4 女池編 

今から半年前

 

2016年の年末の話。

五歳下のなぜか私をアニキと呼ぶ職場の後輩が

「もうアニキもいい年なんだから、ここらで真剣に結婚を考えたらどうですか?」

「考えるもなにも相手もいないのに何を考えるの?」

「いや、俺も何のアテも無にこんなことを言いやしませんや~」

と急に下卑た口調で話してくれた内容によると、その後輩が数日前に行った中学の同窓会で、婚活中の女性と知り合いになり、私がいつまでも独り身でいることを思い出して、その女性とのコンパを設定してくれるという有難い話。

相手も二人組でくるらしい。

後輩は既婚者だが、どういう目的でコンパにくるのかは、私には今ちょっと思い出せない。

とうに結婚を諦めた私にとっては半ば今更感もあったが、自分から求めた縁ではなく、こうした他人から持ってこられた縁というのは

 

「何かの引き合わせかもしれない」

「神無月に出雲で神様連の会議で、いよいよ私の番が決まったのかもしれない」

 

と、後輩には

 

「まあ、会うだけ会ってみるよ」

「君の顔も立たんだろうし」

 

などと口ではいっても、鼻の穴は冠のジロちゃん状態。

 

「だったら善は急げってやつで!」

「相手はクリスマスまでに何とかと言ってますんで、早いとこ決めちゃいましょう!」

 

と、話はとんとん拍子に進み、数日後の金曜、夜9時に会は開かれることとなった。

 

悪い癖とは知りながら

 

まず、こういう時にしてしまう私の悪い癖なのだが、一人で勝手に計画が暴走すること。

この時も、あれこれ考えていると

 

「というかこんなアパートで暮らしているわけにもいかんな」

「二人で住める物件というのは一体いくらぐらいが相場なんだ?」

 

とあれこれ調べるうちにSUUMOだとかHOME’Sだとかという賃貸住宅情報のアプリをダウンロード。
良さそうな物件を見つけたので雨の中を自転車で遠征。

土地勘もなかったので見つけるのに苦労し、二時間半もの間、自転車で物件から職場まで自転車での所要時間を体感したり、バスの時刻表などを丹念に見て回るという、我ながら超ド級の採らぬ狸の皮算用をすることとなった。

 

 

 

明日は合コンの日

 

いよいよ開催が明日となったある日。
件の後輩が

 

「アニキ、店はどこですか?」

 

と来た。

 

「え??!」

「俺が店を予約するの?!」

「ちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょ」

 

と肝を冷やす。

今から翌日の年末の金曜日の夜9時に店がとれるのか?

いや、とることはとれるだろうが、どんな店でもいいわけではない。
ここは個室でなければならない。
また、ある程度、おしゃれ過ぎず、下品過ぎず、チェーン店ではなく、雑誌にも紹介されておらなければならず、ぐるなびの星も3.5以上でなければならず、駅近でなければならず、だが私は元々ここ新潟で、そんなに知っている店もなく、だがしかし、ここで店を抑えられねば会う前から

〝出来ぬ男〟

の烙印を押されてしまいかねない。

 

 

 

さて、どうするどうする???!!!!

と焦っていたところへ、後輩が

「アニキ、俺、できれば刺身が上手い店がいいっすねえ~」

と抜かす。

 

なあにをのんきに!

首の骨へしおったろか!

 

と思いつつも必死でホットペッパーを超高速でめくり、目ぼしいページをゴリゴリと折ったりしていったのであった。

(続く)

【工業高校生に彼女は出来るか!?】 工業高校番外地 アルバイト編 3/3

こうなったらバイトだ!

異性と交遊するには、こっちから攻めてくしかない!

バイトだバイト!!

とまず始めたのがコンサートの設営及び警備員。

担当したのが杏里のコンサートであり、しっとり聞かせるものなのでライブ中は楽なのだがライブ前後の愛知県体育館とかのでっかいホールにとてつもない大きさの鉄骨を組み、ステージを作ったり、撤収したりはかなりの肉体労働で当然ながら男しかいない。

「おら新人!」

「弁当もってこい!」

と、このバイトを紹介してくれた仲間がケツを蹴られているのを見て退職。

 

次にみつけたのは女性がいるに決まっている近所のコンビニ。
今でもたまにある、チェーンではないそこにしかない独自のコンビニ。
その店は、もう無いので書くがアイスクリームの「31」を模して「35」という名のトホホコンビニ。

期待とは別に女性はおばちゃんしかおらず。

且つ、オーナーがドケチで、私がタイムカードを切ったのを見てから残業の指示をだし、残業代は廃棄の菓子パンで払うという横暴さに辟易して退職。

 

続いて見つけたのが若手の女子がいるという噂の近所の靴下の箱詰め工場。

入ってみると、若手女性はまったくおらず。
いるのは当時日本にたくさん居たアフリカ系の不法入国者と思しき、アポロ、ムキビ、カヤンジャの三人の男性外国人。

 

彼らと交流を深め、彼らが梅ガムが好物であることを教えてくれたりして、なかなかに楽しかったがやはり女性との出会いがないので退職。

高校生でできるバイトは限られており、もうバイトに夢をみるのはやめた。

 

 

ラーメン屋にて

「俺たちの生活どーにかなんねーかなー?」

「工業高校で彼女が出来るなんて夢のまた夢だよねー?」

と相談したのは同じクラスの高校生にして週4日、18:00~22:00でチェーンのラーメン屋を任され、たったの一人で切り盛りしているTという男。

いつも、ほとんどお客はいないが、その日もおらず。

そのラーメン屋で相談したのである。

 

「好きなだけトッピングさせてやる」

 

というので、

 

「俺、一回、メンマを腹いっぱいたべたい」

 

といって、麺よりも多いメンマを入れたラーメンを作ってくれた。

そのラーメンを食べてたら、メンマの多さに気持ちが悪くなってしまったのをみて

「なんでも手に入れちゃうとつまらんよね」

「どうにかなんねえかなあと思ってるぐらいでいいんじゃない?」

と言った。

さすが、高校生ラーメン屋店長!

達観している。

一方私は、相変わらず、どうにかならんもんかを日々模索。

後日、麺より多いチャーシューをトッピングしたラーメンを所望し、やはり途中で気持ちが悪くなる相変わらずのアホぶりなのであった。

追伸:もちろん、高校三年間、彼女は出来ませんでした。

【工業高校生に彼女は出来るか!?】 工業高校番外地 文化祭編 2/3

工業の授業

工業高校の科目は、一般的な五教科のほかは体育、書道、その他は普通科に通う者には聞きなれない

「工業基礎」「機会設計」「製図」「工業技術基礎(実習)」

等というものばかり。

中でも

「工業技術基礎(実習)」

というのが大半。

これは何をするかというと、作業服に着替えてネジを作ったりハンダ付けをしたりの作業。

我々も我々でこの授業のことを「刑務作業」とよび、教室のことを「雑居房」、謹慎処分で個室に入れられることを「独房にいく」、卒業を「仮釈」と呼んでおり、口癖のように

「仮釈まであと何年だー?」

などと言いあっていたのである。

そのため、思い描いた高校生活とは真逆の世界であり、入学からわずか数日で心の底からモーイヤこんな生活状態。

 

普通科に行った元同級生

 

休日にたまに共学の普通科に行った中学の元同級生と話すと

「英語のリーダーはいいんだけどさ」

「グラマーが苦手でね」

 

などと言っており、こっちとしては何ソレ状態。

我が工校の英語の授業といえば

〝This is the Earth!〟

などと中学一年と全く同じ教科書で、且つ、意味も分からず皆で元気に大声で大合唱している有様である。

そのため、

 

「「英語のリーダーはいいんだけどさ、グラマーが苦手でね」

 

などと抜かす奴に対しては

 

「しゃらくせえ!」

 

と思い、

 

「なあにがリーダーだよ!」

「そんな話、聞いてられっか!」

「な?!」

「な?!」

と工校生は工校生同士で結束を固めていくのである。

 

待ち遠しいのは文化祭

そんな生活が始まったが、とにかく楽しみにしていたのが文化祭。

噂によると、他校の生徒(女子)などがやってきて、楽しく交流ができるらしい。

うちの学校にも学年に四人女子生徒がいたのだが、うちのクラスにはおらず

 

「噂では、この学校のどっかに女生徒がいるらしい」

 

というレベルである。

そこへ来ての、中学以来、久々の女子との交流、血気盛んな時期であり、楽しみにするなというほうが無理!

自称中学時代にモテたというやつらが過去の同級生たちに声をかけて回ってくれているらしい。

残った我々は来てくれる女子のために一生懸命準備して、迎えた文化祭当日、他校の二人の女生徒が我が雑居房(教室)に入ってきたが、

スーーーーーッと、

本当に

スーーーーーッと、

立ち止まることなく出て行ってしまったのだ。

俺たちの何がいけなかったのか?
普段、パンツで授業を受けている者も今日はズボンをはいているし。

と全く不可解。

我がクラスで出した出し物が、

〝竹細工展〟

であり、竹で作ったケン玉、竹トンボ、水鉄砲 などの陳列であり、ひなびたお土産屋さんじみてることが

「高校生らしい!」

「他校の女生徒が喜んでくれるに違いない!」

と集団催眠にかかるくらい工校生活は恐ろしいものなのである。

 

 

(つづく)