【アル中と呼ばれて】 アルコール依存症への軌跡 上級編

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アルコール依存症まっしぐら

 

飲み続けるのには金がいる。

私の収入では、とても〝いいちこ〟などは飲んでいられない。

10年前には、空き容器を見るだけで吐き気を催していた

 

〝大五郎〟

 

〝ビッグマン〟

果ては

 

〝焼酎〟

 

とだけ書いてあるノーネームな焼酎を毎晩浴びるように飲み始める。
二日酔いで会社にはいくが、会社で必ず吐く。

それがルーティーンになる。

 

当時、自分には何か表現すべきことがあると思っているが、努力が出来ないのでどうにもならない。
バンドを始めるが、お遊び程度にしかできない。

尚且つ、多重債務に陥っており、抜け出し方も全くわからぬ中で誰にも相談できずに苦しんでいた。

休日くらいは、飲んで何もかも忘れようと

 

(休日こそ、がんばれよ!と今となっては言いたいが)

 

アルコール依存症スパイラル

 

休日の前の日は

 

『なるべく、たくさん飲まなきゃ損』

 

『休日は二日酔いにならなきゃ損』

 

とも思うようになる。

 

でも、たまたま量が足りなくて、夜中に目が覚めたりすると、水代わりに焼酎をコップに三杯ほど飲んだりする。

テレビを点けてNHKの深夜にやっている絶景を流し続ける番組を見たりして泣いたりするようになる。

 

『俺はダメな人間だ』

『みんなから嫌われている』

 

と、誰も何にも言ってないのにいじけだす。

 

そのうち、眠ってしまうが、早朝に目が覚める。

猛烈な頭痛と吐き気だが、頑張ってコンビニへ行きドクターペッパーと発泡酒とウィスキーのポケット瓶を買ってくる。

 

『まずは迎え酒だ!』

と、発泡酒を飲む。

『ブドウ糖でアルコールを分解する!』

と、ドクターペッパーを飲む。

多少、酔いがさめてきたら、

『さあ、改めておいしくお酒をいただこう!』

とめざましテレビを見ながら、ウィスキーのポケット瓶を飲みだすが、すぐに飲み切ってしまうので焼酎に切り替える。

 

意識は朦朧とするが、さんざん寝たため、とても眠れないので更に焼酎を飲む。

 

めざましテレビで

〝今日のわんこ〟

のコーナーが始まる頃には、便器を抱きかかえるようにして嘔吐する。

 

『こんなに酒ばっかり飲んでちゃだめだ』

 

と、開店したばかりの薬局へ行き、咳止めシロップを二本買い、部屋で一気に飲む。

 

ベッドに寝転がると、まるで縛り付けられたようになる。

わずかに動く手でリモコンを操作し、録画したテレビ番組などを観るが、意味が理解できずに同じシーンを何度も何度も繰り返してみる。

日が落ちると、改めて焼酎をのみ、咳止めシロップの効能もあってたびたび眠りに落ちるが、すぐに目が覚めるを繰り返す。

 

気が付くと朝になり、這うようにして仕事へ向かう。

 

 

飲酒地獄

 

休日の前の日には

 

『なるべく、たくさん飲まなきゃ損』

 

『休日は二日酔いにならなきゃ損』

 

と思っていたけど、

 

『本当に、こんな休日を過ごさなきゃ損なのか?』

 

と、あの頃の自分に言ってやりたい。

 

(つづく)

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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