もくじ
Suicaの残高が、持ち主の値札化している件
SuicaやPASMOを使って自動改札をくぐるときに、自動改札機の小さな画面にカードの残高が表示される。
ラッシュの時なんかは、自分のすぐ前に自動改札を通過した人の残高がばっちり見れる。
ということは自分の残高も後ろの人に丸わかりであり、毎回1,000円づつ細かく刻んでチャージしており、残高が最大で数百円程度の身としては人前で恥をさらす思い。
残高が50円の私をみた後ろの女性に
「ああ、こいつ50円ね」
「50円の価値の男ね」
と思われるはめになる。
現代社会において、人は、自動改札の前で、Suicaの残高=持ち主の価値、という値札を貼られているのである。
(貼られてません)
残高が過剰な人
たまに、前を通ったサラリーマン風の男の残高が4万円台であったりする。
見せびらかしているのか?
だいたいSuicaに4万も5万もチャージする必要あるか?
と思う。
「いや、4万円以上チャージする必要あるよ」
「なぜなら俺は、突発的に新幹線で長距離の移動をすることもしばしばだからね」
などと抜かす、この野郎は、Suicaの残高を4万円台に保つことで
「おれ、一流のビジネスマンだかんね!」
「Suicaの残高は大人のステータスだもんでね」
「東京カレンダー読んでる?」
「ああ、港区の優越」
などと、胸糞の悪いことを考えているのである。
※写真は東京カレンダー。現在もっとも胸糞の悪い雑誌。
そのため、私は前を通った男のSuicaの残高が4万円をこえていると
「格好つけるんじゃねー!」
と、どやしつけたくなる衝動に駆られるのである。
Suicaの残高が、少ない人はいい人だ!
逆に、私の前を行く若い女性の残高が20円と表示されたのを見ると
「わかる」
「わかるぞ」
等と仲間意識を感じたりする。
「この人は将来、きっといいお嫁さんになる」
などと、何にも知らないにもかかわらず勝手に思っているのである。
改札で流れをせき止める人風景
通勤ラッシュで、ようやくもみくちゃにされた満員電車を降り、みんなでドンドンドンドン自動改札に向かっていく。
前方の改札機をみれば、人々が次々に抜けて出て行っている。
改札を抜けて、それぞれの会社に急ぐ姿が見える。
今日は電車遅延もなく、スムーズにことが運んでいる。
いよいよ自動改札が近づき、Suicaを用意する。
と、私の前を行く者が改札機にSuicaをかざした途端、そいつのSuicaが残高不足で、
〝ピンポーン!〟
という警告音がなり、人を小ばかにしたような小さな扉のようなアレが閉まり
「チャージして下さい」
と機械的な音声が流れる。
自動改札に足止めをくったそいつは、ひきつった笑いで引き返して精算機に行こうとするが、私の後ろからもドンドンドンドン人が押し寄せてきており、ちょっとした立往生状態になることがある。
事情がわからない人々がどんどん押し寄せ、私の背中にガンガン当たってくる。
良い流れを止められた腹いせに、故意に背中にパンチを浴びせる者もいる。
私が悪いのではないにもかかわらず、この残高不足野郎のせいで、私が背中を殴られるのハメになるのである。
こういうせっかくの良い流れを、食い止めるヤツはどこにでもいる。
こいつは、みんなで
「なんか変な臭いしない?」
などという会話で盛り上がっているときに
「俺、鼻が詰まってるからわからない」
といって、会話の流れをとめるタイプである。
『まったく、流れをとめるんじゃねえ!』
と思っていると、その残高不足野郎が小声で
「すいませんすいません」
と頭を下げながら後ろへ戻っていく。
そいつを冷ややかな表情で見送りながら、足止めをくった者達が全員で
『このドジ!』
『まぬけ!』
という心の中で念を送ることになる。
あなたがそういう目に遭わないために、Suicaの残高は多すぎてもいけないし、少なすぎてもいけないので注意していただきたい。
つりばんど 岡村
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