【長い自己紹介】此の馬の骨は、かなりアホ也。③

N部長

 

それまでN部長とは面識はなかったが、とても優しい人で

 

「やる気のないものが混ざっているとみんなに迷惑をかけると思うんです」

 

等と十八のガキの見え見えのウソに対しても

「気持ちはわかった」

「でも途中で逃げ出すのは同期のみんなに失礼だし君の気持もあるし」

「じゃあ、今日一日だけみんなと一緒にがんばろう」

「で、明日、引率は別の担当者に代わって自分も帰るから一緒に帰ろう」

と言ってくれた。

 

翌朝、N部長と自分で荷物を持ち、みんなに挨拶ともお詫びともつかないことを言い、施設を後にした。

「私は歴史が好きでね」

「奈良に日本最古の道という、山野辺の道というのがあるのはしってるかい?」

「みんなには内緒だけれども、帰る前に一緒に歩いてみないか?」

と誘ってくれ、一緒に歩かせてもらうことにした。  

 

 

山野辺の道

 

山野辺の道は一言でいえば山の中の一本道でもちろん舗装などされていない。

近代的な建物などは視界に入らず、昔話の世界に迷い込んだようでとてものどかである。

N部長からは

「これから大変かもしれないけれど、一生懸命自分の道を探して歩いていくんだよ」

と言われたり、途中ですれ違う背中に大きな籠を背負ったお婆さんからコンビニ袋に入った数個のミカンを無言で渡されたり、

先ほどまで軍隊のような中にいた身としては涙が出そうな思いがする。

数時間して、山野辺の道を歩き切り、奈良は、天理駅に着いた。

 

「では私はこれから帰るけれども、君はどうする?」

 

“もちろん、一緒に帰る”

 

と言うのが普通である。

ところがである。

この私は、あろうことか

 

「せっかく奈良まで来たんで大阪見物でもして帰ります」

 

と抜かしたのである。

ややあきれ顔のN部長とは駅で別れ、スキップをするように一人大阪は難波駅へ。

(我ながら、このへん書いてて苦しいです)

 

大阪難波志賀勝

 

当時芸人志望であったため、笑いの本陣大阪でいろいろな劇場で本場の芸を見てまわろうという魂胆である。

初めての大阪はド迫力!

とにかく看板がでかい!

人込みがすごい!

 

とりあえずたこ焼きを買う。

家に帰ったらたこ焼きを親に渡して謝るつもりである。

 

で、歩く、歩く、歩く。

劇場は見つからない。

 

と、道に迷ったところで現れたのは志賀勝のような顔をしたポン引きで唐突に

 

「たこ焼き食うた?」

 

と話しかけてくる。

 

   

 

持ってる看板には

“のぞき”

“1000円ポッキリ!!”

と書いておる。

(覗くっきゃない!)

と、志賀勝に連れられて(いや、志賀勝ではないが)雑居ビルの電気が点いてないスナックみたいな店に入る。

 

汚ねえスナック内

 

中は、話に聞くのぞき部屋とは全く違う、ただの潰れたスナック。

そこには婆さんと呼べるほどの女がスリップ姿でいて、そいつにガブガブと当時飲めなかった水割りを飲まされて、

たまにAVに出たことがあると嘯く若い女が現れたり消えたりしいわゆる

 

“タケノコ剥ぎ”

 

と言われる手口で7000円ほど巻き上げられて、悪態をついて捨て台詞を吐いて出てきた。

 

もう大阪見物をする気にもならず、ベロベロの状態で特急アーバンライナーに乗りひと眠りして実家に到着。

 

実家

 

夜も更けていたので、こっそり自室へ入る。 お詫びのしるしのたこ焼きは、こぼれたウィスキーがかかっており、とても食べられる代物ではく、ごみ箱に捨てる。

 

(俺はいったいどうなるんだろう?)

 

と、この後、するはずのない私の部屋から物音がするので泥棒が侵入してきたと勘違いした両親と大喧嘩が始まるまでのあいだ考えていた。

【長い自己紹介】此の馬の骨は、かなりアホ也。②

奈良の研修センター

 

さて、いよいよ奈良県の某企業の研修施設へ夢と期待ではなく、逃亡の決心で胸をいっぱいにして参加。

 

辞めることは親兄弟にも内緒にしていたので、この泊りがけの研修に向けて母ちゃんが下着類を買って渡してくれ胸が痛んだが、この際、心を鬼にするしかない。

 

研修は軍隊の様相を呈し、

 

〝プロ戦陣訓〟

 

なる、なにか金言めいたものを絶叫に近い大声で全員で唱和するものや、体を不自然に揺らしながら行う発声練習じみたものを終日行い早めの夕食をとって一日目の研修カリキュラムは修了。

   

一日目の夜

 

二人一室の部屋へ入り、逃亡に備えて考えを巡らしながら湯船に浸かっていると

 

「ごめん!どうしてもムリ!!」

 

と叫びながら風呂場に同室のデブが転がり込んできて下半身を露出してきた。

 

(俺は異性と交遊する前に同性のこいつに押し倒されるのか!)

 

と思っていると、あろうことかデブはユニットバスの便座に腰を下ろし脱糞行為を始めたのである。

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【長い自己紹介】此の馬の骨は、かなりアホ也。 

まずは自己紹介を。

 

だいたいブログ と言うものは、どこの馬の骨ともわからん人が書いているものだが、当ブログに於いては、なるべくどこの馬の骨が書いているのかご理解いただいた上で読んでいただこうと、まずは自己紹介から始めたいと思う。

 

つりばんど岡村、愛知県出身。

中学3年の時、 口では「俺は商売人になりたい!」と言いながら、実のところ、極端な異性の多さが目当てで地元の商業高校を志望するも、

 

「成績が伴ってない!」

「お前が商売人になりたいなどとは聞いたことがない!」

「お前の成績なら工業一本でギリギリ!」

 

などと、担任の先生及び、親兄弟から猛反対にあい、地元の工業高校に泣く泣く入学し、極端な同性の多さに耐えながら、ネジを切ったり、はんだ付けをしながら三年間を耐え、家電量販店に就職。

 

工業高校から家電量販店へ

 

この会社の研修から一人前になるまでのスケジュールは、まず30人くらいの同期と一週間程度の座学があり、それ終わりでそれぞれが別々の店舗に配属され、三週間ほど現場を肌で感じた上で、再び同期が集まり奈良県にある研修センターへ行き、三泊四日の講義などを受けたうえで改めて現場に巣立っていくというもの。

 

まずは無難に最初の座学を終了し、いよいよ店舗配属。

 

「さあ、いよいよ俺も異性との交遊を」

 

などと思ったのも束の間、私が配属された店舗は、10人程度の小所帯で、メンバーはアマチュア無線を私に覚えこませようとする60がらみのおじさんから、家電製品の訪問修理の際、訪問先の若いご婦人から

 

「おいくらでしょうか?」

 

と聞かれ、本来無料で行うサービスにもかかわらず

 

「じゃあ、三千円ほどいただきましょうか!」

 

などとちんけな汚職をしている27歳くらいのやつ。

または聞いたこともないメーカーのボロボロのギターを俺に一万円で売りつけようとする一つ年上の先輩まで、全員が男。

 

最終的にはどういう訳かいつも墨汁の匂いがするアイロンパーマの店長からノルマ達成のために親戚縁者にシャワートイレを買ってもらうように言いつけられたのをきっかけとして、配属から僅か二週間で退職を決意。

 

辞めるより、辞めさせられたい

 

しかし私も当時は社会経験の少ない18歳であり、今のようなふてぶてしさも持ち合わせておらず、なかなか退職を言い出す事ができずさんざん悩んだすえ

 

「奈良県の研修先で研修途中で脱走すれば、会社の方からクビを言い渡してくれるはずだ」

 

と思い、夜遅く一人の部屋で当時恰好をつけようと吸い始めた(どういう訳だかSomeTime)に火をつけるのだった。

 

  つづく。

本当は怖い文房具屋

筆記具の試し書きの紙

 

文房具屋に行くとボールペンコーナーに、インクの出具合を試す紙が貼ってあり各人思い思いに試し書いておる。

前々から思っていたのだが、あの書き込みの数々には様々な人生模様があるのではないか?

 

(あの寄せ書きを見過ごしてはならない!)

 

と思い立った私は、さっそく取材をすべく渋谷ロフト地下1階、文房具売り場へ向かった。 入り口付近で近頃何処にでも出没する”男子が女子の顔を両手で包み込む悪質なカップル”を目撃し (ブッコロス) と思いながら店内に潜入。

早速ボールペンコーナーへ。 続きを読む 本当は怖い文房具屋