ビデオレンタル屋の面接
女子高の用務員の夢破れ、どうしたもんかと思いアルバイトニュースの雑誌を買いペラペラとめくっておったが、その中に近所のレンタルビデオ店の名があった。
そこは、高校時代に友達同士で
「あそこのビデオ屋の店員さん可愛いよなあ」
と話題になっていた店であり、
「女性だらけでなくとも、あの可愛い店員さんと働けるなら問題ないぜー」
と、思い出しながら書いているだけで自らのバカさ加減に呆れてくるが、さっそく応募し、即日面接を受けることになり、履歴書持参で件のビデオレンタル屋に行った。
レンタル屋について、レジの前にいる男性店員に、バイト募集に応募した者である旨を伝えると、店長と名乗る男がやってきた。
店長はレジ越しに、私の履歴書を受けとると、履歴書を一瞥し、私に向かって
「はい、自己PRをどうぞ」
と言ったのである。
まさかビデオ屋のバイトの面接で自己PRを聞かれるとも思って居らぬ上、
『レジの前で自己PRもなにもないもんだよなあ』
と思い
「あ、そういうの無いんでもういいっす」
と履歴書をふんだくる様にしてビデオ屋を後にした。
良くも悪くも、私は根性が反抗的に出来ているのである。
英会話教室のポスター貼りのバイト
「じゃあ、次はどうするかなあ」
と考えていたところへ、某英会話教室のポスター貼りが募集されていたのでさっそく応募。
面接官は割と美人な人であった。
面接官にビデオ屋の店長からふんだくった履歴書を渡し、即日働かせてもらうことになったのだが、なんと時給は無しだという。
「じゃあどうやってお金を?」
と尋ねると
「ポスターを店舗や住宅に貼らせてもらうと一枚数百円お支払いします」
「まあ、完全出来高制ですね」
と言う。
「じゃあ、一日で数枚をチャッチャッと貼らせてもらえば、短時間で高収入になるわけですねー」
「なんか男の仕事っぽくていいですねえ」
と、とてもさっきまで女子高の用務員になろうとしていた男の発言とは思えぬことを言い、さっそくポスターの束を持って街中を散策。
既にポスターが貼られている店に行き、無下に断られたり、頭を下げた押して数件貼らせてもらえ気を良くしたのもつかの間、
「こんなもんで一か月稼ぎ続ける自信はない!」
と思い、事務所に帰るなり
「あの、今日でやめさせてください」
とアッサリ退職したのである。
(つづく)
つりばんど 岡村
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