【もしも貧乏のどん底で、大金の入った財布を拾ったら】あなたならどーする?【一挙読み】

財布を落としたとき

 

財布を無くすと、周りの全員が自分の財布を盗んだ犯人に思えませんか?

(思えない)

と言いう人は都合が悪いので、無視します。

 

さて、中学生のころ、近所の夏祭りに出かけて財布を無くしたことがあるのだが、その時も祭りに来ている者全員が犯人に思えて仕方がない。

 

お祭り中を転がるように探し回り、笑顔で話し合っている者たちがいると

 

「嬉しいことが有って笑っているんだな」

「俺の財布を拾ってネコババしたんだな!」

「テメエが犯人だろう!!」

 

と、相手を睨みつけ、財布の中身はせいぜい1600円程度なくせに大げさに憤っていたのである。

 

半泣きで家に帰ったのだが、財布は学生服の内ポケットに入っておった。

 

「あああ、なんて俺はバカなんだろう」

「困っているときの必死さは、冷静になれば滑稽でしかない」

 

と痛感したことがある。

 

 

財布を拾ったとき

 

逆に財布を拾ったこともある。

当時、東京にいたのだが、職場の業務縮小に伴い、賃金は低くなるが都内の別の場所で勤務するか、賃金は上がり、家賃も出してくれる青森で勤務するかの二択を迫られていた時のこと。

 

いつまでたっても金が無く、年がら年中ピーピー言っていたし、放送作家の見習いみたいにしてもらっていたのだが、テレビ業界自体も不景気で、才能のない見習いごときには先が見えぬ上、根っからの根性なしに出来ている私は

 

「作家の道を諦めるのは非常に残念だが」

「いっそ、青森で心機一転頑張ろう」

 

と決めて、荷造り(と言っても、ほとんど物を売ったり捨てたりするだけだったが)していた頃、お世話になっていた放送作家事務所に

 

「青森に行くので、もうこられません」

 

と告げて

 

「じゃあリンゴ食い放題だな!」

 

と訳の分からんことを言われた帰り道。

〝都落ち〟の文字が頭に浮かび、上京してからこれまでの生活が頭をよぎりいつ涙が出てもおかしくない精神状態であったとき、大江戸線に乗っていて、新宿駅で降りようと席を立ったら、隣に座っていた若い女性が私を呼び止める。

 

「落としましたよ」

 

と言う手には、見覚えの無いヘビ柄の長財布を持っており、私に差し出している。

反射的に

「すみません」

と答えて、その財布を受け取った。

前に座っていた人が財布を落としたまま席を立って下車。

その後、知らずに私が座って、私が立ち上がった後に財布が落ちているのをみつけた隣の席の方が、私の遺失物と判断した形となった訳である。

 

財布はかなり重い。
小走りになりたい気持ちを抑えて、なるべくゆっくりと歩きながら公衆トイレの個室に入った。

中身をみると、万札がビッシリと詰まっている。
数えるとなんと46万円入っている。

 

頭に浮かぶのは、『東京残留』、『敗者復活』の文字。

さあ、どうしよう。

トイレで拾った財布を確認する

 

財布には免許証も入っており、写真を見るとガラの悪そうな顔をした若い男性。

こんな顔をした人は悪いことをして稼いだ金に違いない。

私が使ってあげてこそ価値のある金だ。

これだけあれば、東京で生活を立て直せる。

放送作家への道も絶たれずに済む。

 

あわよくば引っ越しが出来るかもしれない。

何かのお告げだと思うことにする。

武士の情けとして、財布とかカードやらなんやらは届け出て、現金は初めから入ってなかったと言ってしまえばいい。

そうしよう!

 

と、思ったのだが、財布の中に定期券が入っているのを発見。

この人、現金も一切もってなくて、定期券もなしでは駅からも出られてないんだろうな。

必死で構内を駆けずり回ったり、関係各所に問い合わせたりしているんだろうな。

と思ったら、なんだか可哀想になってしまった。

落語の〝芝浜〟の大家さんの言葉を思い出して

「こんな金、一銭でも使ったら命を取られることにもなりかねない」

と思って、泣く泣く、しぶしぶ、

 

「俺は、届け出るぞー!」

「バカみたいだが、届け出るぞー!」

 

と、嫌なのに、行きたくないのに、無理に、迷いに迷いながら構内の駅員室へ入っていった。

 

 

駅員室で

 

 

「あのう、財布を拾ったんですけど」

 

「そうですか、わざわざありがとうございます」

 

「いえ」

 

「中身はどれくらい入っているか見られましたか?」

 

「それが結構入ってるんですよ」

 

と財布を広げると担当の駅員さんも目を見開いておった。

 

そのあと、書類に自分の名前やらなにやらを書きこんで

 

「なんかあったらまた連絡します」

 

とのことで、再び電車に乗って帰宅した。

 

アパートで

 

荷物のほとんどないアパートで安い焼酎を飲み始めたタイミングで、携帯に駅員室から電話が入る。

 

「今、落とし主の方が来られまして」

「一言お礼を言いたいと言っておられます」

「代わりますんで」

 

と言って、落とし主が電話口に出る。

 

「いや、本当に助かりました!」

「これは会社のお金で大変なことになるところでした!」

「ありがとうございます!」

「会社のお金なんで謝礼は支払えませんが、本当にありがとうございます!」

 

と言っている。

 

「別に謝礼なんかはいりませんけどね」

「大金を、拾う側にもいろいろと思うところがあるんですよ」

「そんなに大切な金は、カバンに入れて抱えるように持っててください」

「だいたい会社の金を尻のポケットに入れとんじゃねーよ!」

 

と大金を取りそこなった悔しさと、届け出た驕りもあり、いつになく説教じみたことを言ってしまった。

 

私は

「いいことをしたんだから、青森でとてもいいことが起こるんだろうな」

と自分を言い聞かせながら、数日後、青森に旅立ったのである。

結果は、あまりいいことはなかったのだが。

【突然のリストラ危機】 その時、私の右往左往【一挙読み】

突然の業務縮小

 

2009年頃の話。

当時の東京の勤務先が業務縮小することとなり、一か月後までにそれまでとは別業務となるが、会社に居残るか退職するかの二択を迫られた。

回答は一旦保留とし、

「10年以上務めたし、良い機会と考えて転職をしよう」

と考えて友人・知人にいろいろ相談して回ったところ、小さいながらも自分でデザイン事務所を経営している友人が会社経営も大変な中、

 

「本当にやる気ありますか?」

「ある」

「そうですか、でもうちも厳しんですけど・・・」

「・・・月15万円でいいなら」

 

との返事。

非常にうれしいながらも

 

『15万円では生活苦しいなあ』

 

の思いはあったが、デザインの勉強を頑張って、昇給、ゆくゆくは独立!
などとお得意の取らぬ狸の皮算用をし、

会社には

 

「辞めます」

 

と伝えた。

 

捨てる神あれば…

 

勤務先は、業務縮小の関係で残りの期間を新潟にある営業所で二週間ほど働く必要があるとのことで、数日後に新潟行きを控えたある日、何人か大勢で集まる機会があり、これまでの経緯を面白おかしく語っていたところ、その時、全くの初対面の年長者のかたから

 

「だったらうちの会社に来ないか?」

「君みたいにぶっ飛んだ人材がうちには今いなくてね」

 

という。

 

何の会社か聞くと、軍事的な備品やらなにやらを海外から買い付けて、関係当局へ卸す商社だという。

 

「俺、高卒ですけど?」

「というか工業高校卒業ですけど?」

 

と言うと

 

「そんなのは関係ないんだよ」

「もちろん、英語はしっかり学んでもらうよ」

「でも、君みたいなぶっ飛んだ人材が我が社には必要なんだよ」

 

初対面で人のことをぶっ飛んでいるぶっ飛んでいると言われることに多少違和感はあったものの

 

「こういうお堅い商売の人には俺のようないい加減に生きてきた人が珍しいのかもな」

 

と思い、聞けば給料もタップリ!

その上、地元の軍事施設に月1回は通わねばならぬが、むしろ私にとっては会社の金でちょくちょく帰省ができるとあって一石二鳥。

 

「では、新潟出張から帰ってきたら、改めて連絡をください」

 

とのことで名刺をもらって別れた。

 

デザイン事務所は?

 

別れた直後の先述のデザイン事務所の友人に電話

 

「あのさあ!」

 

「やっぱりこの間の話いいわ!」

 

「なしで!!」

 

と我ながら人でなし。

もうその日から浮かれる浮かれる。

 

 

新潟到着

 

新潟では

 

「東京が縮小されてこの後、どーするんですか?」

 

と聞かれるたびに

 

「まあ、私の場合、商社に決まったからねえ」

「商社マンなんで、商社のマンなんで」

「がはは」

 

とよくわからないことを言っていたのである。

新潟では毎晩酒盛り

 

東京で働く後輩たちも一緒に新潟に来ていて、一緒のウィークリーマンションで生活しており、毎晩、誰かの部屋に集まっては酒盛り。

 

「岡村さん、俺たちは残ることにしたんですけど」

「岡村さん、うらやましっす!」

 

というので、思い切り二枚目の顔を作って

 

「まあ、私の場合、商社に決まったからねえ」

 

「商社マンなんで、商社のマンなんで」

 

「がはは」

 

と答える。

 

「俺たちにも紹介してくださいよ!」

 

 

と羨望の眼差しであるため

 

「まあ、私もこれからだが、絶対にのしあがるから」

 

「その時には君たちを呼び寄せるよ!」

 

「でも英語は勉強しなかればならんぞ!」

 

「何しろ買い付けにもいかなくちゃだからなあ!」

 

「がはは」

 

と毎晩おんなじ話で飲んだくれておったのである。

 

帰京

 

新潟出張が終わり、東京へ帰ると、会社残留組の後輩兼、上司のM君が

 

「岡村さん、新業務、一緒にやりましょうよ!」

 

「辞めないでくださいよ!」

 

と言う。

 

この言葉は、当時の私を一番喜ばせた。

なぜかと言うと

 

「まあ、私の場合、商社に決まったからねえ」

 

「商社マンなんで、商社のマンなんで」

 

「がはは」

 

と答えられるからである。

 

なので、もちろんこの時も、一連のがはは笑いをしておった。

 

 

待ち合わせの喫茶店

 

さて、東京にも戻ってきたし、改めて商社の人に電話をして喫茶店で待ち合わせし、落ち合った。

 

「改めて上司に掛け合ったところ」

「今いる人材でがんばることになった」

「すまん」

 

すまんで済んだら警察いらねーんだよ!

 

と思いながらも、ごたごた言ってもどうにかなる話でもなさそうだし、ケンカして入社して、いい仕事になるとは思えないし、黙って引き下がってやろうと思って店を出た。

 

泣くに泣けないとはこのことを言うんだな。

と思いながら、店を出て数歩のところで会社に電話。

 

「M君はいますか?」

「今、代わります」

「もしもしMです」

「あ、M~?やっぱり新業務一緒にやるわー!」

 

ということで、会社に残留を決めたのである。

 

この後2年間、新業務を行ったのだが、これが未だに語り草の、楽しくて、得難き仲間を得られることになるのだから人間なにが幸いするかわからんもんである。

だからどんな時でも希望を捨ててはならないのである。

 

 

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場【一挙読み】

2016年の年末の話

 

2016年の年末の話。

五歳下のなぜか私をアニキと呼ぶ職場の後輩が

「もうアニキもいい年なんだから、ここらで真剣に結婚を考えたらどうですか?」

「考えるもなにも相手もいないのに何を考えるの?」

「いや、俺も何のアテも無にこんなことを言いやしませんや~」

と急に下卑た口調で話してくれた内容によると、その後輩が数日前に行った中学の同窓会で、婚活中の女性と知り合いになり、私がいつまでも独り身でいることを思い出して、その女性とのコンパを設定してくれるという有難い話。

相手も二人組でくるらしい。

後輩は既婚者だが、どういう目的でコンパにくるのかは、私には今ちょっと思い出せない。

とうに結婚を諦めた私にとっては半ば今更感もあったが、自分から求めた縁ではなく、こうした他人から持ってこられた縁というのは

 

「何かの引き合わせかもしれない」

「神無月に出雲で神様連の会議で、いよいよ私の番が決まったのかもしれない」

 

と、後輩には

 

「まあ、会うだけ会ってみるよ」

「君の顔も立たんだろうし」

 

などと口ではいっても、鼻の穴は冠のジロちゃん状態。

 

「だったら善は急げってやつで!」

「相手はクリスマスまでに何とかと言ってますんで、早いとこ決めちゃいましょう!」

 

と、話はとんとん拍子に進み、数日後の金曜、夜9時に会は開かれることとなった。

 

悪い癖とは知りながら

 

まず、こういう時にしてしまう私の悪い癖なのだが、一人で勝手に計画が暴走すること。

この時も、あれこれ考えていると

 

「というかこんなアパートで暮らしているわけにもいかんな」

「二人で住める物件というのは一体いくらぐらいが相場なんだ?」

 

とあれこれ調べるうちにSUUMOだとかHOME’Sだとかという賃貸住宅情報のアプリをダウンロード。
良さそうな物件を見つけたので雨の中を自転車で遠征。

土地勘もなかったので見つけるのに苦労し、二時間半もの間、自転車で物件から職場まで自転車での所要時間を体感したり、バスの時刻表などを丹念に見て回るという、我ながら超ド級の採らぬ狸の皮算用をすることとなった。

 

 

 

明日は合コンの日

 

いよいよ開催が明日となったある日。
件の後輩が

 

「アニキ、店はどこですか?」

 

と来た。

 

「え??!」

「俺が店を予約するの?!」

「ちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょ」

 

と肝を冷やす。

今から翌日の年末の金曜日の夜9時に店がとれるのか?

いや、とることはとれるだろうが、どんな店でもいいわけではない。
ここは個室でなければならない。
また、ある程度、おしゃれ過ぎず、下品過ぎず、チェーン店ではなく、雑誌にも紹介されておらなければならず、ぐるなびの星も3.5以上でなければならず、駅近でなければならず、だが私は元々ここ新潟で、そんなに知っている店もなく、だがしかし、ここで店を抑えられねば会う前から

〝出来ぬ男〟

の烙印を押されてしまいかねない。

 

 

 

さて、どうするどうする???!!!!

と焦っていたところへ、後輩が

「アニキ、俺、できれば刺身が上手い店がいいっすねえ~」

と抜かす。

 

なあにをのんきに!

首の骨へしおったろか!

 

と思いつつも必死でホットペッパーを超高速でめくり、目ぼしいページをゴリゴリと折ったりしていったのであった。

突発的な居酒屋の予約

 

さっそく目ぼしい居酒屋に電話するが

 

「満席です」

「個室でなければ」

 

という返事。

中には

「年末の金曜の21時に、前日に個室の予約など、気でもおかしくなったのか?」

と言わんばかりの対応をするお店もあり、讃嘆たる思い。

しかし一店舗だけ、駅からは遠くなるものの、

 

「なんとか9時に前のお客の宴会が終わる予定」

「9時を過ぎて少ししてから構わないなら」

 

というお店があり、どーにかこーにか携帯電話に向かって土下座するように感謝して個室を確保してもらうことが出来た。

 

これで、出来ぬ男から一転、出来る男の烙印を押していただけると、胸をなでおろそうとしたが、

 

「いや、明日、店が見つからなくて迷ったりしては出来ぬ男の烙印を押される」

「下見だ!」

 

と、仕事終わりに一回、翌朝の出勤前に一回、合計二回の下見をしにいったのである。
我ながら涙ぐましい。

 

 

決戦の金曜日

 

さて、迎えた当日、いつものように働き、就業時間が近づいてくると、件の後輩がソワソワしだす。

 

「顔の脂をとるウェットシートありますか?」

 

とか

「整髪料持ってませんか?」

 

とやたら聞いてくる。

この日に備えて持ってきている自分も自分だが、それらを貸してやる。

 

また、何かにつけて、用事もないのに私のところにやってきて、

で、

 

「アニキ、今日は仕事の話はなしで!」

 

などと言ってくる。

そんな席で仕事の話なんかしない。

 

ちょっとするとまたやってきて

 

「アニキ、相手のことを気に入ったかどうかのサインを決めときましょう」

「会話の中に、なんとなく相手の点数を織り込んで話してください!」

そんな高等テクニックは持ち合わせていない。

しばらくすると、またまた思い出したようにやってきて

 

「アニキ、残念なお知らせがあります!」

「何?」

「アニキ、今日、ランニングシャツ着てますね?」

「ランニングっていうか、Yシャツの下はノースリーブの下着だけど」

「ブー!(不正解の音のつもりらしい)」

「女の子は、ランニングシャツはおじさんっぽくて嫌いなんですよ~」

 

ややムッとして

 

「じゃあ、ジャケット脱がないからいいだろ」

 

と言うと、ちょっとニヤけて

 

「じゃあ絶対、ジャケット脱がないでください!!」

 

ビシッ

 

という感じで、私の顔に向かって指をさす。

 

 

だんだんむかついてきたが、その後、コンビニでTシャツを買って着替えた自分にも忸怩たる思いがした。

ようやく居酒屋へ

 

仕事が終わり、二人して店へ向かい、時間よりも15分ほど早く店の前についた。

件の後輩は相変わらずウヒョついておる。

ウヒョつくどころか、ソワソワし出して

 

「アニキ!店入る前に、どっかで一杯ひっかけていきませんか?」

 

などと言い出した。

 

「一杯飲むって、今から一杯飲むんだよ?」

 

「いや、だからその前にビールだけ一杯!」

 

「まあ、別にいいけど、もう相手の人たちくるんじゃない?」

 

と言ったが、耳に入っていないらしく、一人でズンズン歩いていき、よくあるTVが点いている小さな居酒屋に入っていく。

ドカッと席に座ると

 

「生二つ!」

 

などと勝手に、且つ横柄に言い、出てきたおしぼりで顔をゴシゴシと拭く。

おしぼりを首に回して、うなじから耳の中まで、ゴッシゴシゴッシゴシと拭く。

この男にランニングシャツがどうこう言われたことが腹立たしい。

 

顔を拭き終えると、出てきたビールを一気に飲み、叩きつけるようにジョッキを置くと

 

「よしっ!」

 

と言い

 

「ゲフッ」

 

などと漏らしてレシートを掴んで立ち上がり、出ていこうとする。

 

私はまだ一口も口をつけていなかったので、慌ててビールを飲み、後輩を追いかけるようにしてレジへ行く。

で、きっちり割り勘。

 

チャカつき続ける人

 

「よく、一杯だけのもうなんていって誘われることあるけど、本当にこんなに一杯だけなんて、お店の人も驚いていたろうね」

 

と話しかけるが、こちらの話は全く耳に入っておらず、上の空で、ジャケットやズボンのポケットというポケットを叩いたり、かき回したりしながら

 

「えーと、タバコを買っとかなくちゃいかんな」

 

とつぶやき、タバコ屋を探してキョロキョロしている。

タバコ屋は彼のすぐ背後に有ったのでその旨を教えると

 

「ああああ」

 

などと言いながら

 

〝そんなことは言われなくても、そもそもわかってますよ〟

 

というような表情をし、自動ドアにぶつかりながらタバコ屋へ入っていき、タバコを買うと、転げ出るように、再び自動ドアにぶつかりながら出てきた。

 

で、タバコに火をつけて深く吸うと、待っていた私に対し、

 

「アニキなんか緊張してるみたいですね!」

 

「って、おめえだよ!!!」

 

と一喝して、ようやく待ち合わせの居酒屋に入っていったのである。

いよいよ合コン

 

思わぬ寄り道で、21:00ギリギリになったが、幸い相手側はまだ来ておらず、時間に遅れることなく店に入ることができた。

 

フスマを開けて用意されていた個室に入ると、件の後輩(もうヤツと書きますね)が、奥に入っていき壁に背を付けてドカッと座る。

 

「こういう時、俺たちがフスマを背にして座っておくべきじゃないの?」

 

と言うと

 

「ああ、そうか、最近、会社の飲み会では役職の関係で上座に座らせられることが多かったからなあ」

といい、フスマを背にして座りなおす。

いかんいかん

えっへん

とでも言いだしそうな、言い草である。

 

(バカが!)

 

と思いながらオッサン二人で横並びになっていると、ヤツが斜め上をみたままの形で、ポケットから何かを掴み、私の方に向かってテーブルの上をスライドさせるように

 

「あちらのお客様からです」

 

の要領で、何かを投げつけてきた。

 

 

 

私の目の前にはカクテルではなく、GODIVAのクッキーの小袋が5つ。

これは数日前、職場に札幌の営業所の者がうちの職場に来た際に、手土産に持ってきたものである。

なんで、こいつがそれを今ここで私に投げつけてきたのか?

 

ヤツの真意がわからず、GODIVAのクッキーを見つめ、言葉もなく黙っていると、ヤツは斜め上を見ながら

 

「これ、札幌出張に行ったときの土産だと言って、女性陣に渡してください・・・」

 

という。

 

「は?」

 

 

 

よくわからなかったが、つまりは、

〝札幌に出張するほどの男ですって、まあウソですが、見せつけてやってください〟

〝高級サラリーマンの振りして女性の心を鷲掴みにしてください〟

 

などというつもりらしい。

 

「っていうか、なんでGODIVAなの?」

「花畑牧場とか白い恋人とかならわかるけど?」

 

といったが、ポカンとしている。

『GODIVAってなんだべ?』

という顔をしている。

更に

「GODIVAは新潟にもあるだろ」

「で、お土産なら普通、箱で渡すだろ」

「なんでお土産をバラでもってこなきゃならんの?」

「っていうか甘いもので女心は鷲掴みにできるものなのか?」

 

と詰問したが、さらにポカンとしている。

 

『札幌に出張に行く男って、女心を掴めるべ』

 

とでも言いたそうである。

 

(バカが!)

 

と思う。

 

 

いよいよ女性陣がやってきた

 

狐につままれた表情とは、今のこいつの表情のことなんだなと思いながらあきれているところへ女性陣がやってきた。

 

が、相手も私をみる表情からして今回の話はなかったことにしようというのがありありとうかがえる。

こうなれば、今回はこの会を無難に楽しい思い出で終わらせよう。
なるべく私は〝粋〟に済まそう。
会計は、女性陣が気が付かぬうちに済ましておいて、スマートな感じで解散なり二次会に行こうと決めた。

 

女性陣がさっそくメニューを見た直後、見て、何にしようかほんの2秒ほど考えたところで、ヤツが

 

「あ!」

 

「言~っときますけど~!」

 

と節をつけて言い放ち、

 

「今回の支払いは我々男性陣で持ちますから!」

「遠慮せずにドンドン!」

 

と抜かす。

 

今、メニューみたばかりだし、別に遠慮してねーし、高い店でもねーし、無粋極まりないわー

と赤面する思い。

 

で、会話はヤツが主体となり、主に仕事の話を、自分たちが務める会社がいかに大きくて、将来的に安定しているかを、ウソ、大げさ、紛らわしい の広告だったらJAROに相談するレベルの脚色で話して聞かせ、話のまとめでは必ず

 

「ねえ?岡村さん」

 

と私を共犯にしていたが、酔いが回ってからは

 

「そうですよね?アニキ」

 

と柄の悪いところが噴出。

もうこいつとの合コンはコリゴリだと思いながら会は進行。

会計の段になるとベロベロになって、呂律の回らない口調で

 

「アニキ、すいません、金かしてください!」

「給料日には返しますんで!」

 

と言う。

 

何が、ここは男性陣が持ちますだこの野郎、金も持って来てねえんか!

 

と思う。

で、二次会に行って解散した。

その後も、アニキ、アニキと口ばかりのヤツのこの後の行動はどんどんエスカレートしていったのだが、具体的な行動は、本人も記憶がないと言っている上、著しく本人の社会的地位も剥奪しかねないため、割愛します。

 

 

数日後

 

後日、久々に職場で彼と顔を合わせた際、

 

「アニキ、合コンの金の件ですが、後日ちゃんと清算しますんで!」

 

と言ってきたので

 

「金の清算はもういいから」

「お前との関係を清算したいわ」

 

といったのは、あながち冗談ではなかったのだが、今現在も彼はそれがわかっていない模様である。

 

 

【赤ちゃんになつかれない人のお悩み解消!】男の私が確実に赤ちゃんに気に入られてきた接し方

赤ちゃんに気に入られる方法

私は赤ちゃんが好きである。

自慢じゃないが私は赤ん坊からも絶大な人気がある。

すなわち私と赤ちゃんは相思相愛である。

どんな赤ん坊でも私をみて泣き出すようなことはなく、むしろ泣き止んだり笑ったり、私を凝視するのである。

ウソだと思うなら、私の前に赤ん坊を連れてくるとかの検証してもらえばわかるのだが、今ここで証明できないことが悔しい。

私の職場には産休中の母親の方々がたまに赤ん坊を連れてやってくるのだが100%の確率で赤ん坊は私になつくのである。

そのため、当の母親たちから

「パパ含め、男の人は嫌がるのにあなたにはなついたのが不思議」

「なんであなたはそんなに赤ちゃんがなつくんですか?」

と尋ねられるのである。

そんな私が、赤ちゃんに気に入られない方のために、赤ちゃんに気に入られるための方法をお教えします。

安心してください

などと書いておいて

「結局人間性ですよ」

「赤ちゃんには人の優しさがわかるんですよ」

「私は良い人間なんですよ」

なんてオチではなく、きちんと誰でもが好かれる秘訣を書くので最後までお読み下さい。

悪い見本『逆に赤ちゃんに気に入られない人』

まず、赤ちゃんに気に入られない人は、ある過ちを犯している。

それは、赤ちゃんを〝赤ちゃん赤ちゃん扱い〟しているということである。

「赤ちゃんを〝赤ちゃん赤ちゃん扱い〟して何が悪い!」

と、

「裸になって何が悪い!」

と言って居直った元スマップの草彅剛のようなことをほざく人に言いたいのは、

「それがダメなんですよ」

と言うことである。

まず赤ちゃんだって赤ちゃんの前にきちんとした一人の人間であることを忘れてはいけないのである。

赤ちゃんを〝赤ちゃん赤ちゃん扱い〟しないとは?

これはどういうことかと言うと

『猫なで声を出さない』

『必要以上にいじらない』

ということである。

よく赤ちゃんと会うと不自然に素っ頓狂なカン高い声をだしてオバサンが

「あら~赤ちゃぁぁぁぁぁん♡」

「バァバァ」

「ほら、プニプニしちゃって可愛いわねえ~」

「こちょこちょこちょ~」

などとババアがマヌケヅラして赤ん坊をいじり倒した結果、赤ん坊は不機嫌極まりない表情になっているにも関わらず

「まあ、可愛らしいわねえ」

「アバアバアバ」

「可愛くてお母さん似だわねえ♡」

「お利口そうねえぇぇぇ」

と、この辺りは赤ちゃんにではなく、母親に対するお世辞をたっぷりと聞かせ、母親が笑顔になってところで

『しめしめ』

『笑っとる笑っとる』

と思い、立て続けに

「まあ、ほ~んと可愛いわねえ」

「赤ちゃぁぁぁぁぁん♡」

といい口をOの字に開きツバであぶくをつくり

「パッ・・パッ・・」

と、あぶくが割れてはまた作り、割れてはまた作りを繰り返すが、赤ん坊からしたら

『なにを気持ちの悪いことをしやがるんだ』

『シブきがかかるだろうがコンチクショー』

と思っているところへオバサンは

「ちょっと抱っこさせてぇぇぇぇ」

といい、抱っこしようとした途端に赤ん坊はギャン泣き。

オバサンは

『抱っこしようとした瞬間泣くなんて』

『感じの悪いガキめ』

と思い

「あらあら、やっぱりママがいいのね」

と当たり前のことをのたまいつつも、内心はハラワタが煮えくり返っているのである。

(煮えくり返ってません)

これでは赤ちゃんに好かれるわけがない。

赤ちゃんに気に入られる私の具体的な接し方

では、私の場合はどう接しているか。

職場に赤ちゃんが母親に連れられてやってくる。
この際、先述のオバサンのように猫なで声など決して出さない。

また、赤ちゃんがいる、とは思うが、ただ思うだけであって、ただ人がいると思うのと同様、赤ちゃんだからといって特別にこっちから近づいていったりもしない。

赤ちゃんからすると、大人というものは素っ頓狂な猫なで声で接してくると決めつけており、また他の大人たちがワイワイ集まり、『アバアバ』だの『可愛い』だのヤイヤイヤイヤイの大合唱で押し寄せてきている中、

『おや?』

『こいつ寄ってこないぞ』

と珍しい人間に会ったという気持ちで不思議に思うのか、私をじっと見つめてくる。

で私は目が合うと大人同士でするのと同様

「オッス」

などと挨拶をする。

そうすると赤ん坊は私の方に来たがる素振りをするので母親が赤ちゃんを抱いて私に近づいてくる。

ここでも決して

「あらぁぁぁ赤ちゃぁぁぁぁん♡」

などとか決して言わず(言いたくも無いが)

「おお、〇〇君と言うのか、よろしく」

と握ったままの手を持って握手のひとつもしてやると、赤ちゃんは、赤ちゃん赤ちゃんするのではなく、きちんとと人間扱いされたことを嬉しく思うようで以後は私にべったりとなるのである。

気持ちの悪い父親と、まとめ

赤ちゃんに好かれない人、今まで猫なで声で接してませんでした?

また家庭のパパも

「〇〇ちゃぁぁん、かわいいでちゅねえぇぇぇ♡♡」

などと言う話し方をする父親ほど娘に嫌われているにも関わらず、更に

「〇〇ちゃぁぁん、チュウしててぇぇぇ」

などと娘に無理やりキスしたりして、娘が超気持ち悪そうにしてるの見たことありませんか?

そんなもんは愚の骨頂!

赤ちゃんだって人間の一人!

私はこれで100%赤ちゃん、引いては幼児には気に入られているので赤ちゃんに好かれない人はぜひお試しくださーい!

【仮病で仕事を休みたいあなたが今すぐにすべきこと】仕事を休んでる人より休まない人の方がストレスが少ない理由とは?

仕事を気分で休む人が、どんどん気分がよ悪くなる理由

仕事をちょくちょく休む者がいる。

こういう人は体調不良でも急用でもなく、ただただ行きたくないと言う理由で休む。

仮病で休む。

つまりはサボる。

質の悪い者になると身内の虚偽の不幸があったなどとしてサボる。

そんなにまでして休みたいのなら、別の仕事を探せば良さそうなもんだがあくまでも辞めずにサボる。

休む方はそれでいいのかもしれないが、毎日きちんと出勤してる者への負担が多くなるのでたまらない。

などと書くと、昨今の状況的に言うと

「だったら過労死しろってことか?!」

「休みたいときに休めないってことか!?」

などと言われそうだが、別にそんな過労死的状況の話をしているのではなく、そんなんじゃなくて、頻繁に仮病なり、無断なりで平気で仕事を放棄するものについての話である。

と、ここまで読んで

「なんだよサボるための記事じゃないのか」

「こっちは仕事行きたくねえんだよ!」

と、あなた自身がサボりの常習犯であり、読むのをやめようとしている人であったなら、最後にはサボらずに済む方法を明かすのでとりあえず読み進めて欲しい。

サボる人の方がストレスが溜るのはなぜ?

だいたいサボる人は覇気がない。

不幸そうである。

四六時中イライラしているのか、眉間にシワを寄せたような表情でストレスたっぷりなような顔で、終始ブーたれたように暮らしているように見受けられる。

それに比べて仕事にきちんと来ているものは快活な者が多い。
しかし、サボりまくるヤツはその逆である。

なんで毎日仕事をきちんとこなしている者よりも、やりたい放題の、ちょくちょく休んでストレスから解放されているはずの者の方がストレスが溜ったようであるのか?

「そりゃ、あれでしょ、やっぱりどこか病んでるんでしょ」

「病んでるからこそ、仕事に来たくなくなってサボるんでしょ」

と言われると思うが、私はここで

『サボるからストレスが溜り、元気がなくなる説』

を提唱したい。

サボるからストレスが溜り、元気がなくなる説とは?

これは、やりたいことをやるのと、行きたくないから行かないの違いが関係してくる。

やりたいことをやる、というのは、例えば

「旅行に行きたいから行く!」

とか

「ご飯が食べたいから食べる!」

ということで前向きであり、元気が出る。

が、やりたくないからやらないというのは

「仕事に行きたくないから休む」

とか

「掃除をしたくないからしない」

ということであり、どんどんやらなければならないことが後回しになるという基本的に逃げの姿勢。

で、サボった人ならわかると思うが、サボった時は気分が悪い。
元気一杯でサボっている人をあまり見かけない。

これは

「仕事が嫌だ」

「掃除をしたくない」

ということをずっと思いながらサボっているので気分が悪いのである。

で、気分が悪く、また翌日もサボりたくなりサボるのである。

先ほども書いたように、今の仕事がどうしても嫌な仕事なら

「私は〇〇の仕事に就きたいのでそっちの仕事に就く」

と、やりたい仕事を探すとか、自分が好きなこと、本当にやりたいことは何なのかとかを深く考えればいいのだが、それもせず、とにかく仕事は嫌な物だというのが前提にあるので、クビにならない程度にサボってサボってを繰り返し、どんどんどんどん暗くなっていくのである。

無責任に仕事を辞める人

そのため、

「とにかく辞めたい」

と後先考えず仕事を辞めるヤツがいる。

「実はこっちの仕事がやりたかったから辞める!」

ならばいいのだが、得てしてこういう者は、別の仕事に就いたはいいが、それがもともとやりたかった仕事でもなく、基本的に「仕事は辛いもの」「やりたくないもの」という考え方をしているので、新しい仕事でも結局同じことの繰り返しになるのである。

あなたが、仕事をサボらなくてよくなる方法

ネットで「仮病」で検索すると、そりゃあたくさんの仮病の種類やら仮病で医師から診断書を貰う方法、なんて記事が出てくる。
そんなことを調べるよりはまず、自分が好きなこと、やりたいことを考えることから始めてみるとどんどん元気になるのでサボる前にぜひお試しくださーい!

【バリウム検査風景】素人の私の考えるバリウム検査に潜む危険性とは?

人はなぜ、バリウム検査の前では無力と化すのか?

若者からすると

「そんなにいやなら受けなければいい」

等というと思うが、年齢的にもそれはそれでちゃんと検査はしておきたいので、受けないという選択肢は除外されるのである。

「じゃあ、もうちょっと毅然とした態度で検査に臨むべきれはないか!?」

という熱血的な若者が言うかもしれないが、まず、健康診断の際には腐ったパジャマのような、毛玉だらけの伸びきったスエットみたいなものを着せられるので、その時点で、こちらのプライドはズタズタにされているのである。

その上、大げさな機械の上で上下左右、240度ぐらい傾けられるような自由を奪われた状況下では毅然ともしてられんのである。

「ただ従うだけなんてあんまりじゃないか!」

と、また先ほどの熱血的な若者がいうかもしれないが、ちょっと君、さっきからうるさいよ、と牽制して話を先に進める。

バリウム検査の危険性

だがしかし、確かに自由に身動きが取れない状況だからと言って、なんでもかんでも命令に従うのは考え物である。

もしも健康診断の場に、変態医師が紛れ込んでおり

「はい、右肩上げて」

「こっち見て」

「舌出して」

「舌が鼻に届くかにチャレンジして」

「舌引っ込めて」

「服全部脱いで」

「脱いだら仰向けに寝て」

「右手と左手で、それぞれ右足首と左足首掴んで」

「M字開脚して」

「はい撮影します」

「この写真バラまかれたくなかったら、何でも言う事きくね?」

などという事件に陥りかねないので、我々も何でもかんでも医師のいう事を聞いている場合ではないのかもしれない。

なんでバリウム検査は35歳以上なのか?

健康診断に於けるバリウム検査は、35歳からだと義務付けられている。

食道・胃・十二指腸の病変をチェックするための検査であり、その辺の内臓を病みやすい35歳以上の者を対象にしている、というのが一般的な理由である。

が、私はそうではなく、35歳以上の者は大人であり、若者のように反抗しにくいので、

「なんでも言うことを聞きやすいから」

「キレ難いから」

という理由で義務付けられていると思っておりまーす!

【バリウム検査風景】バリウム検査、それは命令との戦い。

激しく指示と言う名の命令を出されるバリウム検査って?

人は、35歳を超えると、年に一回人から激しく命令を下されることになる。

それは、バリウム検査の際に命令を激しく下されるのである。

では、どのように命令を下されるのか、バリウム検査を受けずに済んでいる若者のために、その流れを見ていこう。

バリウム検査風景①~ゲップを我慢せよ~

バリウム検査を受ける際は、まずそれ用の個室に入れられる。

それ用の部屋には、なんか人間を乗せる大げさな機械がある。

※こういう機械である。この機会が縦横無尽に回転する。

部屋の中にいる医師から、スリッパを脱いでその台に乗るよう指示される。

台に乗ると粉末状の発泡剤とかいう炭酸みたいなものが入った容器を渡される。

その発泡剤を飲む。

その際、まず

「ハイ、ゲップ我慢してください」

と第一の命令が下される。

別にゲップを我慢していたわけでは無いが、

「ゲップを我慢しろ」

と言われた瞬間、逆にゲップを意識するあまり、猛烈にゲップが出そうになるので注意が必要である。

で、〝すかさず〟といった感じで、バリウムの入った容器を渡される。

結構バリウムの量が多いので驚く。

にも関わらず

「一気に全部飲み干しちゃってください」

と第二の命令が下され、仕方なしに、んぐんぐ言って無理やり飲む。

この際も

「はい、ゲップ我慢よ、ゲップ我慢よ~」

と第二の命令と同じことを言われるので猛烈にゲップが出そうになる。

バリウム検査風景②~医師はコントロールルームへ行く~

飲み終わると、容器を回収すると、医師は隣の部屋にある、コックピットというか、指令室というか、こちらの部屋が見られるような窓と、受診者に命令を出すためのマイクと、受診者が乗っている機械を縦横無尽に操ることのできる、ラジオブースのようなコントロールルームのような部屋に入って行く。

この際、受診者は、医師の目を盗んでちょっとゲップしたりする。
ここでしかゲップは出来ないのでチャンスを逃さないで欲しい。

で、医師はこの別室から受診者の乗っている機械をグルグルと回す操作をし、マイクを通して命令を下し始める。

「ハイ、サイドのバーをがっちり握って!」

「背中をきっちりつけて」

と言われるなり、乗っている機械が足元からせりあがり、強制的に仰向けになる。

すると

「右肩ちょっと上げて」

「もうちょっと上げて」

「そりゃ上げすぎ」

と嫌みったらしく吐き捨て、機械をまたグルグルと動かす。

受診者は今自分がどの体勢なのか、文字通り前後不覚となっているところへ

「はい、右周りで三周回って」

「回ったら息止めて」

などと言う。

運動直後の息止めは苦しい。

苦しんでいる表情をみて満足すると、ようやく

「はい、息して」

と言い

「今度はうつ伏せになって」

「左肩ちょっと上げて」

「もうちょっと上げて」

「そりゃ上げ過ぎ」

と立て板に水で命令を出す。

この時の受診者は、自由の利かないこんな状況で今さら検査を逃げ出すことも出来ず、医師の言うがままであり

『そんなつもりはなかったのに、気が付いたらアラーキーにヌードを撮られていた女性は、こういう気持ちだったのかもしれない』

と唇を噛みしめながら思っている。

また医師は医師で

『ああ、こうして大の大人が私の命令に従っている光景』

『私の思うがままに、人がグルグルと回っている状況』

『出来ることなら受診者にロウソクを垂らしてやりたい』

などと邪なことを考えて前を膨らませつつ

『俺、これがやりたくて医者になったんだかんな』

『ああ、このために一生懸命勉強して医者になって良かった』

と思いながら

「はい、左回りで三周回って」

「右肩上げて」

「もうちょっと上げて」

「だからそりゃ上げすぎ!」

とマシンガンのように命令を出し、至福の時間を過ごしているのである。

(つづく)

 

【人は35歳を超えると年に一回命令される】現代社会に潜む、人に激しく命令される状況とは?

日常的に命令を下される人々

ボクシングのセコンドは、ボクサーに対して激しく命令をくだす。
どういう命令かというと

「ハイ、ワン・ツー!」

「足使え足を!」

「フットワークフットワーク!」

「ガードが下がってる!」

「もっと手を出せ」

「手数だ手数だ!」

「よーし効いてる効いてる!」

「ジャブだジャブ!」

などと次から次へひっきりなしに命令を下す。

ボクサーにとってもセコンドは第二の目であり、信頼関係でつながっており、その命令を無視することは許されない。

ああいう命令を我々一般人は日常生活で下されることは無い。

そのため、私は

「ああ、ボクサーはあんなに命令を出されて嫌だな」

「激しく命令を下されることのない一般人で良かったな」

と思っていたのである。

35歳以上が経験する日常生活の中に潜む命令

だが、そう思っていたのは35歳までである。

何故かと言うと、人は誰しも35歳を超えると、一般人も日常生活の中で激しく命令されることがあることを知るからである。

などというと

「なんのことだ?」

「いったい35歳以上では何が起こるんだ?」

と、若者は恐れおののき、35歳以上の者は

「ああ、アレのこと言ってんでしょ?」

「あれは年に一回とは言え、確かに過酷な状況だよねえ」

と納得するのである。

まとめ

ということで、何のことだか分らぬ若者読者は

『〝一般人も35歳を超えると年に一回激しく命令されることになる〟は何のことなのか?』

と周りの35歳以上の人に聞いてみれば答えがわかるので聞いてみてくださーい!

おわり。

などと本当は終わらないので安心して欲しい。

と私は、ブログ史上初となるであろう読者に対するドッキリを仕掛けてみたのだが、別段ドッキリもしなかったことと思う。

スマヌ。

答え

さて、恐れおののく35歳未満の若者読者に答えを教えよう。

『〝一般人も35歳を超えると年に一回激しく命令されることになる〟は何のことか?』

それは、健康診断に於けるバリウム検査のことである。

バリウム検査受診時に、大人たちは医師から嫌と言うほど命令を下され、その命令に従っているのである。

では、どのような命令を下されているかは次回で説明する。

(つづく)

 

【一家団欒中にテレビからエロいシーンが放送された場合の対処方法とは?!】マジで困るんですけどー!

一家団欒中にテレビからエロいシーンが入ってくる風景

何がカンベンして欲しいかと言って、家族でご飯など食べているときにテレビでベッドシーンなどが流れることほどカンベンして欲しいものは無い。

せっかくの団欒が一気に凍り付くような空気になる。

テレビを観ていて

『なんかこのまま行くとエロ方面に行きそうだなあ』

と察しがつけば、なるべく早い段階でチャンネルを変えることもできるのだが、チャンネルを変えようとすると、察しの悪い家族(だいたい母ちゃん)が

「今、観てるよ」

などと言い、家庭内エロシーン侵入を回避することは失敗することが多い。

また、予め察しがつくこと自体が少なく、こういうシーンはだいたい不意打ちでくることが多い。

このような場合も、サッサとチャンネルを変えればいいのだがエロシーンが始まって突然チャンネルを変えるということは、それがエロいことだと理解したこととなり、別に家族の誰もなんにも言わないのだが、

『別にエロシーンだからチャンネル変える訳じゃないかんね』

という表情をし

「あれ?天気予報やってないかな」

などと白々しいセリフのひとつやふたつ言わねばならず、甚だやっかいであり、おいそれとチャンネルを変えるわけにもいかないのである。

家族一丸となって祈る風景

では、一家団欒のさなかに突然テレビからエロシーンなどが流れるという、不意打ちを食らった時、人はどうするかと言うと、家族の誰かがチャンネルを変えてくれないか、祈る様な気持ちでありつつも、

『それがエロいことだとは気が付いていませんよ』

というように、知らんふりをするのである。

知らんふりをしながら、心の中では

『1秒でも早くこのシーンが終わってくれ』

と、家族一丸となって念じるのである。

では、別の部屋に行くなど、その場を立ち去ればいいような気もするが、これもチャンネルを変えるのと同様

「傘持ってきてたかな」

などと、白々しいセリフのひとつやふたつ言わねばならぬのでおいそれとは別の部屋には行きにくい。

また、このような空気は、年末恒例の笑ってはいけないシリーズのような状況になり、笑ってはいけないと思えば思うほど、耐えきれなくなり、家族の誰かが突然笑いだすときもある。

その場合、一人が笑うと連鎖反応で家族みんなで笑うことになるのだが、決して清々しい笑いではなく、なんか家族の裏の顔を見てしまったような嫌な気分にもなるのである。

って、なんで一家団欒でメシ食ってただけなのに、こんな家族の裏の顔とか見ねばならんのだ!と、不意打ちでエロシーンなど放送したテレビ局に腹が立ってくる。

この様な場合の正しい対処法

チャンネルも変えられない、別の部屋にも行けない、針のムシロとはまさにこのことである。

ではこのような場合はどうすればいいか?

事前にそうならないように、家族でテレビを観る時はNHKしか観ない家もあるだろうが、NHKだけじゃ、絶対に楽しめない。

結論を言えば、一家団欒中にテレビからエロシーンが放送されてしまったらもう終わりである。

我慢するしかない。

が、

『あ、これ家族あるあるだなー』

『独り暮らしじゃ味わえないよなあ』

と思って、その状況を楽しんでくださーい!

 

【自分で恋愛アシストが上手いという人は・・・】ポンコツの後輩との思い出②

店に入る

店に入り、後輩と二人で席に座っていると私の恋する店員さんが私たちのテーブルにやってきてグラスを取り換えにやってきた。

彼女と軽く挨拶を交わすと、別のテーブルへと移って行ったので、後輩に

「あの人が例の人だよ」

と言うと

「分かりました。任せてください」

と言って私の胸を思い切り殴って

「この幸せ者!」

「幸せ者~~~ッ」

と言いながら私の首を絞めるような30年前のギャグのようなことをし出したので、少しムカつき、こいつをこの店に連れてきたことを後悔し始めたのである。

後輩の言う、恋愛アシストとは?

で、また飲んでいると再び恋する店員さんがグラスを取り換えにやってきた。

その途端、後輩は、それまでの話とは一切関係なく、急に大声で

「いやっ!岡村さん!」

「岡村さんにはホント、いつもお世話になって!」

と握手を求めてきたのである。

訳が分からんがとにかく握手を返したが、それを黙殺するかのように恋する店員さんは別のテーブルへ移っていった。

突然、なんのことかわからんのであっけにとられたが、店員さんが去って言ったら、何もなかったかのように後輩はさきほどまでの続きの話をし出したのである。

『いったいなんだったのだろう?』

とは思ったが、次の恋する店員さんがテーブルに来たタイミングで、再び後輩が急に大声で

「いやっ!岡村さん!」

「岡村さんにはホント、いつもお世話になって!」

「いや、マジでお世話になりっぱなしで」

と言ったところで、こいつの言う恋愛のアシストとやらが、せいぜいが、この人は、自分がお世話になっている先輩であるということを大声で言うだけのことであることが分かり、私は人生史上最大の苦虫を噛みつぶしたような表情となり、目じりはピクピクとし、そのまま後輩の首根っこを掴むようにして立ち上がり、店をあとにしたのであった。

後日談

この後輩は数年後結婚し、現在は二児の父となり幸せな家庭を築いているので、他人の恋愛をアシストする才能は無かったが自分の恋愛をうまくいかせる才能はあったのである。