工業の授業
工業高校の科目は、一般的な五教科のほかは体育、書道、その他は普通科に通う者には聞きなれない
「工業基礎」「機会設計」「製図」「工業技術基礎(実習)」
等というものばかり。
中でも
「工業技術基礎(実習)」
というのが大半。
これは何をするかというと、作業服に着替えてネジを作ったりハンダ付けをしたりの作業。
我々も我々でこの授業のことを「刑務作業」とよび、教室のことを「雑居房」、謹慎処分で個室に入れられることを「独房にいく」、卒業を「仮釈」と呼んでおり、口癖のように
「仮釈まであと何年だー?」
などと言いあっていたのである。
そのため、思い描いた高校生活とは真逆の世界であり、入学からわずか数日で心の底からモーイヤこんな生活状態。
普通科に行った元同級生
休日にたまに共学の普通科に行った中学の元同級生と話すと
「英語のリーダーはいいんだけどさ」
「グラマーが苦手でね」
などと言っており、こっちとしては何ソレ状態。
我が工校の英語の授業といえば
〝This is the Earth!〟
などと中学一年と全く同じ教科書で、且つ、意味も分からず皆で元気に大声で大合唱している有様である。
そのため、
「「英語のリーダーはいいんだけどさ、グラマーが苦手でね」
などと抜かす奴に対しては
「しゃらくせえ!」
と思い、
「なあにがリーダーだよ!」
「そんな話、聞いてられっか!」
「な?!」
「な?!」
と工校生は工校生同士で結束を固めていくのである。
待ち遠しいのは文化祭
そんな生活が始まったが、とにかく楽しみにしていたのが文化祭。
噂によると、他校の生徒(女子)などがやってきて、楽しく交流ができるらしい。
うちの学校にも学年に四人女子生徒がいたのだが、うちのクラスにはおらず
「噂では、この学校のどっかに女生徒がいるらしい」
というレベルである。
そこへ来ての、中学以来、久々の女子との交流、血気盛んな時期であり、楽しみにするなというほうが無理!
自称中学時代にモテたというやつらが過去の同級生たちに声をかけて回ってくれているらしい。
残った我々は来てくれる女子のために一生懸命準備して、迎えた文化祭当日、他校の二人の女生徒が我が雑居房(教室)に入ってきたが、
スーーーーーッと、
本当に
スーーーーーッと、
立ち止まることなく出て行ってしまったのだ。
俺たちの何がいけなかったのか?
普段、パンツで授業を受けている者も今日はズボンをはいているし。
と全く不可解。
我がクラスで出した出し物が、
〝竹細工展〟
であり、竹で作ったケン玉、竹トンボ、水鉄砲 などの陳列であり、ひなびたお土産屋さんじみてることが
「高校生らしい!」
「他校の女生徒が喜んでくれるに違いない!」
と集団催眠にかかるくらい工校生活は恐ろしいものなのである。
(つづく)
つりばんど 岡村
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