憎むべき商業高校男子
商業高校への入学試験を受けさせても貰えなかった私にとって、女性満載の商業高校へみごとに進学していった仲間たちは、表面上は仲が良いものの、心のどこかでは憎んでいるところがあった。
その商業へ行った中学の仲間が高校三年の文化祭で、お笑いをやるのでネタを書いてくれと言う。
当時、私の書いたものがラジオでポツポツ読まれていたのでそれを聞きつけてきた模様。
「ふざけるな!」
「普段から女の中で生活しやがって!」
「こちとら文化祭のイベントは、知らない落語家の落語鑑賞なんだよ!」
と思ったが、自分のネタがウケるのか確認するチャンスでもあるし、引き受けることにした。
書いたネタは、まあ、学校あるあるに毛が生えた程度のものだったが、観客がなんでも笑う世代でもあったため、そこそこウケたらしい。
それを勘違いした、その仲間が
「俺たちならいけるかもしれない」
と言う。
勝手に私を仲間に引き入れ〝俺たち〟などと言っているのに腹が立つ思い。
「一緒にお笑い芸人になろう!」
という。
私は小学校のころからお笑い芸人になろうと思っていたので
「まあとりあえずのきっかけに」
と中学からの友人四人でお笑いユニットを組んだ。
お笑いユニット結成
コントのネタを作って練習。
今から考えれば、自分の書くネタは面白いけど、恥ずかしくてとても自分で演じたいようなものではなく、だいたいが残りの三人が演じて、最後に私が出てきて一言だけいって終わるスタイルで、その頃から、どちらかというと裏方だったんだと思う。
「芸人になるにはプロダクションに所属すればいい」
「所属を希望する旨を事務所に電話をかければいいんじゃないか?」
と、バカ丸出しで、卒業後まもなく、電話帳で調べて東京の大手プロダクションに電話。
「あの、そちらで芸人になりたいんですけど」
と伝えると説教のひとつでもされるかと思いきや
「だったらいついつにネタ見せをするのでネタもって来てください」
と簡単な返事。
「いよいよ俺たちも東京デビューだ!」
と、デビューでもなんでもないのだが、公園や河原でネタを練習して、上京に備えるのだった。
(つづく)
つりばんど 岡村
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