【新潟シティマラソン2017】リベンジレポート 4/4

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35キロ到着

 

残り7キロ、あと一時間半。

 

「このままじゃ昨年同様失格する」

 

「今年は去年の忘れ物を取りに行かねばならん」

 

関門の時間も迫っているので、38.8キロ地点の関門までとにかく走ることにする。

 

これがしんどい。

しんどいが、とにかくタイムアウトだけは避けたい。

フルマラソン完走の経験が欲しいの気持だけで走る。

 

「体力も残ってないし、気力もないし」

 

「これって、アドレナリンだけで走ってるよなあ」

 

などと言いながら走り、関門締め切り15分前で最終関門を通過。

 

あとは歩いてでも完走できる!

 

と再び歩きはじめ、最後のエイドステーションにあったキュウリの浅漬けの涙が出そうになるほどの美味さをかみしめてたりしながら歩き続ける。

 

 

40キロを過ぎると応援の質が変わる

 

このあたりになると、沿道の応援の人たちも

 

「よくがんばったよくがんばった」

 

「この先はもう坂道はないから安心して!」

 

など応援もやや慈愛に満ち

 

「これまで酷いことしてごめん」

 

とでも言いたそうなセリフで、どことなくハードSMの様相を呈してくるので、私のMの血が騒ぎだしそうになる。

 

終盤に来ての猛烈な応援・・・

 

私たちのすぐ後ろを歩く女性ランナーが、私たちに

 

「間に合いますかね?」

 

と声をかけてくる。

 

「このペースならギリギリ大丈夫ですね」

 

「もう走りたくねえっす」

 

「ハハハ」

 

と言って、なんだかパヤパヤムードで、更に歩き続けると残り600メートルの所から手を叩きながら

 

「ほらほら、みんなあと少し!」

 

「マリオの恰好のおじいちゃんもホラ、走るよ!」

 

「ラストスパート!ラストスパート!!」

 

と威勢のいい女性の声がする。

 

『この期に及んでやかましい人だな』

 

と思っているとSが

 

「あれ、Qちゃんですよ!」

 

と言う。

 

「え!?」

 

と思って声の方を見ると、確かに高橋尚子さんである。

今大会二度目の遭遇!

ハイタッチをし

 

「二回もハイタッチしちゃったぜ」

 

と思っていると、高橋尚子さんが黄色いシャツを着たSに向かって

 

「ほら、黄色いお兄さん、一緒にゴールまで走るよ!」

 

という。

 

「ほら、青いお兄さんも!」

 

と青いシャツを着た私にも言って走り出す。

 

「ほら、そこの編み笠のお兄さんも!」

 

「黒いシャツのお姉さんも!あと300メートル!」

 

「みんな私から1メートル以上離れずに一緒にゴールするんだよ!」

 

と言ってどんどん仲間を増やしていく。

こんな経験二度とねーぞー!と思って走る。

 

「ほら写真なんか撮ってないで一緒に走るよ!あと200メートル!」

 

こんな風に金メダリストに言われてついていかない人はいない。

 

脚は痛いが、それはあとで考えることにして、とにかくみんなでついていく。

ハーメルンの笛吹きのごとくどんどん人が吸い寄せられる。

が、行先は地獄などではなく、FINISHと書かれたゴールである。

ゴールがどんどん近づいてくる。

 

「あら、みんな走れるんじゃない!」

 

「ほら、紫のお姉さんも一緒に走るよ!」

 

「はいみんなでゴールするぞー!?」

 

「おーーーーーーーー!!」

 

「はいみんな、横の人と手をつないでー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、ほんの一瞬世界が止まってゴールを切った。

 

 

※写真は、中央やや左の水色のTシャツのQちゃんに、背後から迫りくる、青いシャツでモヒカンで薄ら笑いを浮かべてゴールする直前の筆者。

この時私は何を考えていたか?

ゴールの感慨にふけっていたか?

いえいえ

 

『これ、ブログに書けるぜー!』

 

と思っていたである。

 

 

さて、その後、ゴールを共にしたものと高橋尚子さんとでハイタッチの応酬!

 

完走賞のバスタオルが肩にかけられる。

 

完走証を受け取る。

 

記録、6時間53分10秒。

総合順位6670位。

 

陸上部推薦のYはどうなったのか?

 

ああ、忘れていた。

スタート地点から走り去っていった元陸上部のYはどうなったか?

 

Yは、知らぬ間にトンネルの中で我々が追い越し、17キロ地点から徒歩。

結果、33キロの関門でタイムアウト。

二年連続の失格となり、タオルもおにぎりも貰えず、一人で数日落ち込むことになったのである。

 

家路

 

そして私は、帰り道に食糧などを買い込んで帰宅したのだが、お店の人が

 

「今日、走ったんですか?」

 

と声をかけてくれる。

 

「そうです」

 

と答えたが、どうも笑いを堪えるような顔をしている。

家に帰って鏡を見たら、日焼け止めを忘れてバンダナのあとがくっきりと残り、額がツートンカラーになっていたのである。

 

マラソンに必要なもの

 

来年からは、日焼け止めを忘れずに塗ろうと思う。

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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