【多重債務者と呼ばれて】 借金する前に読むべき物語! ②

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ピザ屋でバイト

 

割と近所にピザ屋がオープンするという話が耳に入り、地元で経験もあったので
そこで働いて糊口をしのぐことにした。

仕事柄、町中の地理に詳しくなったが、以外にも小室哲哉の実家や、
新日本プロレスの子会社の事務所がある土地であることも分かり、
言うほどへき地でも無さそうだと、なんだか街に誇りのようなものを感じるようになった。

 

一度、新日本プロレスの事務所から注文があり、配達し、金を受け取っていると
奥から

 

「なんだ!ピザか!?」

 

と言いながら奥の席で事務机から顔をお上げになられたのは今は亡き山本小鉄さんだった。

 

『鬼軍曹だー』

 

と思い

 

「あ!はい!」

 

と答えると、注文した人に

 

「ひとりだけで食ってんじゃねえ!」

 

と叱り

 

「これで一番大きいサイズのやつ何枚か持ってきて!」

 

と一万円札を何枚か私に差し出してくれ

 

『やっぱり噂通りいい人なんだなあ』

 

となんだかほっこりした思い出がある。

 

 

※写真は山本小鉄さん

 

大屋さん おばちゃんとおじちゃん

 

二年が経ち、大家さんに家賃と共に更新料を払おうとすると

 

「不動産屋なんか介さないで私たちは私たちだけでやりましょう」

「だから更新料なんでいらないわよ」

 

と言ってくれ、とても良い大のおばちゃんなのであった。

 

一方、売上げが伸びず、三年ほどでピザ屋が閉店することとなった。

店のオーナーとは年が近く兄のような存在で、向こうも我々バイトの者たちの面倒をよく見てくれていた。

 

閉店することは何か月か前から予告されており、さっさと次を見つければよかったのだが

 

『すぐに次を探すのはオーナーに悪い』

 

と、甘いことを抜かし貯えもないくせにのほほんと構えておった。

 

閉店間際、銀行でカードローンのようなものを作り、手始めに限度額一杯の10万円を借りた。

これが借金人生のはじめの一歩である。
ここから雪だるま式に借金が膨れ上がっていくのだから、人生を甘く見てはいけない。

 

三か月ほどして次の職が見つかったが、それまでに金融会社の無人契約機でさらに15万借りており、
給料が入っても、借金返済にほとんどを取られ、手元には僅かな金しか残らず、
必然的に良い人に甘える結果となり、大屋さんに対して家賃を待ってもらうことになった。

 

家賃滞納が、2~3か月遅れになったが大家のおばちゃんは

 

「そんなこと気にしなくていーのよー」

「ある時に払ってくれればいーからねー」

 

と涙のでるようなことを言ってくれる。

 

 

一方おじちゃんは

 

しかしながら大屋のおじちゃんはそこまで甘くはなく、私が部屋に居ることがわかると
ドアを激しくノックして、怒りで震えながら(本当に震えている)

 

「おぉかぁぁむぅぅらぁぁぁくぅぅぅん!!!!!」

 

「いぃぃいぃぃかぁぁげぇぇんにぃぃしぃなぁいぃかぁぁぁ~」

 

と言いに来るのである。

 

「すいません、いついつまでにちょっとだけでも必ず支払いますので!」

 

と詫びを入れ、許してもらい、期日になるとおじちゃんがいなさそうなときを見計らって大屋さんの家へ行き

 

「この間、おじちゃんに今日支払うといったのですが」

 

「今日、財布ごと落としてしまって~」

 

などと見え見えのウソをつくが、おばちゃんはあくまで優しく

 

「あの人、そんなことしたの!」

「ある時に払ってくれればいーからねー」

 

と優しく言ってくれるのである。

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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