突発的な居酒屋の予約
さっそく目ぼしい居酒屋に電話するが
「満席です」
「個室でなければ」
という返事。
中には
「年末の金曜の21時に、前日に個室の予約など、気でもおかしくなったのか?」
と言わんばかりの対応をするお店もあり、讃嘆たる思い。
しかし一店舗だけ、駅からは遠くなるものの、
「なんとか9時に前のお客の宴会が終わる予定」
「9時を過ぎて少ししてから構わないなら」
というお店があり、どーにかこーにか携帯電話に向かって土下座するように感謝して個室を確保してもらうことが出来た。
これで、出来ぬ男から一転、出来る男の烙印を押していただけると、胸をなでおろそうとしたが、
「いや、明日、店が見つからなくて迷ったりしては出来ぬ男の烙印を押される」
「下見だ!」
と、仕事終わりに一回、翌朝の出勤前に一回、合計二回の下見をしにいったのである。
我ながら涙ぐましい。
決戦の金曜日
さて、迎えた当日、いつものように働き、就業時間が近づいてくると、件の後輩がソワソワしだす。
「顔の脂をとるウェットシートありますか?」
とか
「整髪料持ってませんか?」
とやたら聞いてくる。
この日に備えて持ってきている自分も自分だが、それらを貸してやる。
また、何かにつけて、用事もないのに私のところにやってきて、
で、
「アニキ、今日は仕事の話はなしで!」
などと言ってくる。
そんな席で仕事の話なんかしない。
ちょっとするとまたやってきて
「アニキ、相手のことを気に入ったかどうかのサインを決めときましょう」
「会話の中に、なんとなく相手の点数を織り込んで話してください!」
そんな高等テクニックは持ち合わせていない。
しばらくすると、またまた思い出したようにやってきて
「アニキ、残念なお知らせがあります!」
「何?」
「アニキ、今日、ランニングシャツ着てますね?」
「ランニングっていうか、Yシャツの下はノースリーブの下着だけど」
「ブー!(不正解の音のつもりらしい)」
「女の子は、ランニングシャツはおじさんっぽくて嫌いなんですよ~」
ややムッとして
「じゃあ、ジャケット脱がないからいいだろ」
と言うと、ちょっとニヤけて
「じゃあ絶対、ジャケット脱がないでください!!」
ビシッ
という感じで、私の顔に向かって指をさす。
だんだんむかついてきたが、その後、コンビニでTシャツを買って着替えた自分にも忸怩たる思いがした。
(つづく)
つりばんど 岡村
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