【バリウム検査風景】バリウム検査、それは命令との戦い。

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激しく指示と言う名の命令を出されるバリウム検査って?

人は、35歳を超えると、年に一回人から激しく命令を下されることになる。

それは、バリウム検査の際に命令を激しく下されるのである。

では、どのように命令を下されるのか、バリウム検査を受けずに済んでいる若者のために、その流れを見ていこう。

バリウム検査風景①~ゲップを我慢せよ~

バリウム検査を受ける際は、まずそれ用の個室に入れられる。

それ用の部屋には、なんか人間を乗せる大げさな機械がある。

※こういう機械である。この機会が縦横無尽に回転する。

部屋の中にいる医師から、スリッパを脱いでその台に乗るよう指示される。

台に乗ると粉末状の発泡剤とかいう炭酸みたいなものが入った容器を渡される。

その発泡剤を飲む。

その際、まず

「ハイ、ゲップ我慢してください」

と第一の命令が下される。

別にゲップを我慢していたわけでは無いが、

「ゲップを我慢しろ」

と言われた瞬間、逆にゲップを意識するあまり、猛烈にゲップが出そうになるので注意が必要である。

で、〝すかさず〟といった感じで、バリウムの入った容器を渡される。

結構バリウムの量が多いので驚く。

にも関わらず

「一気に全部飲み干しちゃってください」

と第二の命令が下され、仕方なしに、んぐんぐ言って無理やり飲む。

この際も

「はい、ゲップ我慢よ、ゲップ我慢よ~」

と第二の命令と同じことを言われるので猛烈にゲップが出そうになる。

バリウム検査風景②~医師はコントロールルームへ行く~

飲み終わると、容器を回収すると、医師は隣の部屋にある、コックピットというか、指令室というか、こちらの部屋が見られるような窓と、受診者に命令を出すためのマイクと、受診者が乗っている機械を縦横無尽に操ることのできる、ラジオブースのようなコントロールルームのような部屋に入って行く。

この際、受診者は、医師の目を盗んでちょっとゲップしたりする。
ここでしかゲップは出来ないのでチャンスを逃さないで欲しい。

で、医師はこの別室から受診者の乗っている機械をグルグルと回す操作をし、マイクを通して命令を下し始める。

「ハイ、サイドのバーをがっちり握って!」

「背中をきっちりつけて」

と言われるなり、乗っている機械が足元からせりあがり、強制的に仰向けになる。

すると

「右肩ちょっと上げて」

「もうちょっと上げて」

「そりゃ上げすぎ」

と嫌みったらしく吐き捨て、機械をまたグルグルと動かす。

受診者は今自分がどの体勢なのか、文字通り前後不覚となっているところへ

「はい、右周りで三周回って」

「回ったら息止めて」

などと言う。

運動直後の息止めは苦しい。

苦しんでいる表情をみて満足すると、ようやく

「はい、息して」

と言い

「今度はうつ伏せになって」

「左肩ちょっと上げて」

「もうちょっと上げて」

「そりゃ上げ過ぎ」

と立て板に水で命令を出す。

この時の受診者は、自由の利かないこんな状況で今さら検査を逃げ出すことも出来ず、医師の言うがままであり

『そんなつもりはなかったのに、気が付いたらアラーキーにヌードを撮られていた女性は、こういう気持ちだったのかもしれない』

と唇を噛みしめながら思っている。

また医師は医師で

『ああ、こうして大の大人が私の命令に従っている光景』

『私の思うがままに、人がグルグルと回っている状況』

『出来ることなら受診者にロウソクを垂らしてやりたい』

などと邪なことを考えて前を膨らませつつ

『俺、これがやりたくて医者になったんだかんな』

『ああ、このために一生懸命勉強して医者になって良かった』

と思いながら

「はい、左回りで三周回って」

「右肩上げて」

「もうちょっと上げて」

「だからそりゃ上げすぎ!」

とマシンガンのように命令を出し、至福の時間を過ごしているのである。

(つづく)

 

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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