【日韓ワールドカップの思い出】ボロい原付とフーリガン①

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日韓ワールドカップの頃

 

2002年。都落ちを経て、なんの準備もなく再び上京。

変な女とワンルームマンションでルームシェアしていたころ、移動手段として原チャリを譲り受けた。

 

もらった原チャリ

 

※これの白と思ってもらって差し支えない。

 

この原チャリ、もともとは白いスクーターなのだが、シートも破れまくり、カウルも外れまくりで、そこをガムテで補強してあるので段ボールで作ったような、一見、日比野克彦の作品のようなスクーターである。

 

エンジンもまともにかからない。

 

セルでエンジンをかけるなんて夢のまた夢。

 

10回以上キックスタートを試して、やっとエンジンがかかる。

 

が、エンジンがかかってもすぐにエンストする。

 

そのため、エンジンがかかった後も常にアクセルをふかし、聖火ランナーが炎を消さぬように走るがごとく、エンストを起こさぬように大切に大切に乗らねばならない。

 

ブレーキは気持ち程度しか効かない。

なのでスピードは出さない。

というか出ない。

フルスロットルでアクセルをふかしても徐行に毛の生えた程度のスピードである。

 

ではどうやって停まるかというと、基本はエンジンブレーキである。

急ぐときには足を使う。

多少のケガは覚悟の上で、足を道路にビタッとつけて止まる。

 

私は足腰が強く、長距離を走っても膝などが痛くならないのはこのバイクのブレーキ代わりに足を使った経験がいきているのかもしれない。

 

ゴミのようなバイク

 

枚方出身の仲間が彼女を乗せた新品のビッグスクーターで並走しながら

 

「そのバイク、はよ捨てろ!」

 

などと笑いながら冗談を言う。

 

その後ろに乗せた彼女とそいつとの縁は、俺がキューピッド役となって成立したものだけに腹が立つ。

(のち結婚)

 

と言うか、自分でもあんなバイクでよく移動してたよなあと思う。

 

今日は楽しい日本代表戦

 

その日は、私を散々な目に遭わせた変な女が友人宅に外泊するという。

 

 

かつ、日韓ワールドカップ開催中であり日本とどっかの国との試合のテレビ中継がある日。

 

久々に羽を伸ばして部屋でサッカー日本代表の試合みようと、楽しみにする。

 

仕事が終わり、件の原チャで職場からマンションまで走行。

 

「サッカー観ながらご飯を食べよう」

 

と、マンション近辺のコンビニで、おでんやら弁当やら飲み物などを購入。

 

荷物はメットインにしまわず、コンビニ袋を両腕にひっかけてそのまま再びマンションへ向かう。

 

もうそろそろ試合開始時間が迫っている。

 

近道するため、よくないことだが公園の中を突っ切らせてもらうことにし、ハンドルを切って公園に突っ込んでいく。

 

公園の中には・・・

 

少し走ると前方に40名程度の不良集団がたむろしている。

 

『やべ』

 

と思うが、このまま引き返すのも変である。

逃げたことで逆に追い回されるかもしれない。

 

『このままなんとなく通り過ぎよう』

 

と集団の真ん中に突き進む。

 

遠巻きにみれば、不良集団にガムテだらけのボロ原チャ一台で、おでんを武器に戦いを挑んでいく男の図であり、かっこいいと思われたかもしれない。

 

(思われません)

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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