【読むランニングショット】柴田恭兵の謎の楽曲を考える!

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あっけにとられる歌『ランニングショット』

その昔、たまが歌うちびまる子ちゃんのエンディング曲『あっけにとられた時のうた』というのがあったが、今回は『あっけにとられた時のうた』ではなく、〝あっけにとられる歌〟の話である。

あっけにとられる歌、それは柴田恭兵が歌う『ランニングショット』という楽曲である。
なにがあっけにとられるか、それは聴くとあっけにとられるのである。

どうあっけにとられるかはひとまず置いておいて、まずはこの曲の背景から説明する。

ランニングショットの背景

この曲は柴田恭兵が出演し、当時大人気を博したドラマ「あぶない刑事」の挿入歌として発表された。

時は1986~7年、今から30年以上も前、当時人気の絶頂期であった柴田恭兵。
当時中学1年だった私と同世代の方たちはご存知だと思うが、当時の柴田恭兵つったらそれはもう、凄まじい人気。たとえばこれまた当時大人気であった恋愛ドキュメントバラエティー番組『ねるとん紅鯨団』という男女の集団カップリングパーティーの模様を実況中継する番組では、その回ごとの出場者を紹介する際にテロップで、氏名・年齢・パートナーいない歴とともに、好きなタイプの有名人が表示されるのだが、女性出場者の三分の一は「好きな有名人」の項目に〝柴田恭兵〟と書いているくらいの人気だったのである。

関係ないけど、大人気番組ねるとん紅鯨団をいちいち説明する必要がある時代になったんだなあ、と改めて時の流れに嫌気がさす。
というか、今回は、その「関係ない」も関係してくるから話はますますややこしくなるのだが。

ランニングショットがお茶の間にやってきた日

で、そんなに人気の柴田恭兵が俳優の枠を超えて、満を持して曲を出すということで学校中はにわかに浮足立った。カッコイイ役者が曲を出すのだ、そりゃもうカッコいいに違いない。クラスの女子どもも休み時間に「柴田恭兵が今夜、トップテンに出るよ!」「光GENJIはまだまだ子供!本当のかっこよさは恭兵!」「そうそう光GENJIは、純粋でまじめな子ばっかりだし」と、まさかその後、光GENJIのメンバーが刑務所に入ったりするとは夢にも思わず囁きあっておった。

そして、その夜、トップテンという歌番組に出て歌う柴田恭兵を観て、TVの前であっけにとられ、全員ずっこけることになったのである。

さて、まったくの大きなお世話なのだが、どうあっけにとられたのか、今回はこの曲を拙い私の解説つきで、読者諸氏には時代を巻き戻して、当時のトップテンを観ていたように振り返っていただきたい。

ランニングショットを書き起こす

日本テレビ系で放送されていた歌のトップテン、当時の司会の徳光和夫と石野真子。会場は渋谷公会堂。観客を入れて行われるいわゆる公開番組である。

「ランニングショット!柴田恭兵さ~ん!」

と呼び込むと同時にバスドラムの音がドンッドンッドンッ!!!と鳴って曲が始まる。

観客席からは黄色い声援がこれでもかというくらいに飛ぶ。

かっこいいイントロであり、いやが上にも盛り上がる。そして画面にアップで映る柴田。

すると第一声「レディ!!」

バスドラが〝ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!〟

すかさずの第二声「アクション!」

イントロが流れる中、歌いだしまでのあいだ満足気にステップを踏む恭兵。

レディー!アクション!と来たか、なるほど、こうして観客の前で歌を歌ってはいるが、歌手の前に俺は役者。アクターたるもの決して「ワン・ツー・スリー」などとカウントをとるような真似はしない。歌という演技をおっぱじめようぜ、こちとら映画のことを写真って言ったりしてんだこの野郎、なめんじゃねえ、と思っているのかもしれない。

で、曲がはじまるのを待っていると

「OK~~~~~~~~?」

と語りかけてくる。

え?わかったのかこの野郎?そこらのジャリタレと一緒にすんじゃねえぞ~。ねるとんの好きな有名人独占してんだぞコラ、と思いながら不敵な笑みを浮かべる恭兵。

OK~~?と言われた方も『なんか無駄にイントロ長えな』とは思いつつも「はい、わかりました。心して聴きます」と襟を正す視聴者たち。

さて、いよいよ歌いだしだ、と思っていると

未だ唄わず「カモ~~~ン!!!!!!」と雄叫びをあげる。いよいよ歌が始まるのかと思っていると

サッとマイクを残し、突然矢印の方向へ消える柴田。スタッフが驚き、ディレクターがカメラマンに「なにやってんだ、てめえ、柴田恭兵はどうした!!」とインカムを通して怒鳴り、焦ってカメラを引くと

スタッフをおちょくるようにマイクからこんな遠くまで一瞬で走っていっている柴田。スタッフさんよ、俺がリハ通りに演るなんて思ってなかったよねえ?この歌のタイトルわかってる?ランニングショット。俺は歌いながら走るんだよ、ついてこい!と思っているのかもしれない。

そしてまだまだ単調なイントロが続く。 人を食ったような歩き方でマイクに戻る柴田。この辺りでチャンネルを変える視聴者も出てくる。

柴田に『はやく歌って!!!!』のカンペを出すフロアディレクター。

観念したように恭兵もいよいよ歌いだす。

「優しい~~~」と歌って

優しい表情をするも、即座に

「なんてウソだぜ~いつ~も~」

と来る。ほう、誰のことなのだろう、と続きを待っていると

「ふざけた~ことは一切、御免だ」

と急になんだか恐いことを言い出す。

長すぎるイントロが終わり、短すぎるAメロが終わりBメロ突入。そしてBメロの歌詞はこうくる。

「粋がってみせるのも、面倒な話さ、気まぐれなふりをしておどけているだけ!!」

と、Aメロに続いてあっという間にBメロも終了!

さあ、ここからがあっけにとられる歌たるゆえんなのだが

恭兵は急に眉間にシワを寄せ「行くぜ!!!」と叫ぶ。

行くぜ!って曲の途中で何を言い出すのか、サビに行くぜ!ってことなのだろうか?じゃあ、その行くぜとやらのサビはどうなるの?と楽しみにしていると

「GET UP!!!!…ハッ!」

と叫ぶ。歌うのではなく、叫ぶ。比喩でもなんでもなく。

「ゲラッ!…ハッ!」とか「下郎!…ハッ!」と言っているように聴こえる。

するとすかざす

この人はじめバックコーラスの人たちが「メグルッ!!」とごく短く合いの手を入れるように歌う。餅つきのキネをつく人のタイミングを見計らって餅をひっくり返す人のように素早く「メグルッ!」と歌う。

って、歌うで合ってるんだろうか。

バックコーラスの人を、バックコーラスの人たちと書いたのは

このように三人いるからである。この人たちのことを調べたが詳しくは出てこなかった。前日に飲み屋で恭兵と偶然出会って「明日トップテン出してやるよ」と言われて集められた人たちなのかもしれない、と我ながらなんの根拠もなくこんなことを書いてすまないと思う。

で、続けて

「GET ON!!!!!」

と恭兵が叫べば、バックコーラスが

「いつ~も~」とゾワゾワするようなコーラスを入れ、それに呼応するように

ノリに乗ってきた恭兵が「Ohyeah…TAKE UP!!」と叫べば

「風はッ!」とコーラスというかさきほどの「メグルッ!」と同じ要領でレスポンス的な叫びが入る。

再び恭兵が

「TAKE ON!!!!」とコール的に叫んで、最後は全員で

「時のゆくまま~~~~~」と決めて

グーーッツとカメラが引いて全体が映る。

いやいやいやいや、ぜんぜん意味わかんないんですけどー!!

なになに?サビが基本、叫びの応酬なの?え?取り合えず歌詞だけを書き出してみると

行くぜ!GET UP!(めぐる)

GET ON!(いつも)

TAKE UP!(風は)

TAKE ON!時のゆくまま

って、なんだそりゃ??どういう意味でしょうか?え?どういう意味でしょうかー!?と思っていると

それには答えず無言のメンバーたち。

頼む!なんとか言ってくれ!どーゆー意味でしょーかぁぁぁ!!ウンとかスンとかなんでもいいから言って!ねえ、お願い!わたし怖いの!!とテレビ画面に祈った直後、

プシューーーーッ!

と何も答えず消えてしまうのである。

って、なんだこりゃ?

柴田恭兵のランニングショットは衝撃の問題作だ!

そして、二番に入る。二番も一番のほぼ繰り返しで素敵なのですが割愛させていただきます。

1986~7年当時、人気絶頂の柴田恭兵が我々一般人をあっけにとらせた雰囲気が少しでもわかっていただけましたでしょうか?

「っていうかランニングショットなんて曲知らなーい」などと言うヤングマン諸氏は、ぜひ一度きいてもらいたい。

今回、書き起こしに利用させていただいた動画はコチラ↓



「あー、そういえば最近、あっけにとられることってないなあ」と思ったあなたは、ぜひYouTubeや音楽配信サービスで柴田恭兵さんのランニングショットをお聴きくださーい。

というか柴田恭兵さん、並びにファンのみなさま、どうもすみませんでした。



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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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