もくじ
歌いだすのさ舟唄を
阿久悠 作詞、浜圭介作曲、八代亜紀の歌う〝舟唄〟の歌詞は、こうくる。
お酒はぬるめの 燗がいい
肴はあぶった イカでいい
女は無口な ひとがいい
灯りはぼんやり 灯りゃいい
しみじみ飲めば しみじみと
想い出だけが 行き過ぎる
涙がポロリと こぼれたら
歌いだすのさ 舟唄を
さすが阿久悠である。
グッとくる。
が、この歌を我々世代は素直に聴けない。
我々世代はどーしても、
♪しみじみ~飲めば~しみじみと~
のサビの導入部を聴くと
♪しみじみ~ドリンキン、シミジミリィ~ィ~ィ~
と条件反射で心の中で歌ってしまうという困った病を持った世代なのである。
往年のしみじみドリンキン
♪しみじみ~ドリンキン、シミジミリィ~ィ~ィ~
とは何か?
かつて我々世代が小学生の頃、お酒のCMでこの舟唄の英語バージョンが頻繁に流れており、脳内にそれを刷り込まれてしまったのである。
そのため、名曲、舟唄を素直に聴けなくなったのだ。
なんだったんだアノ曲?
記憶では、外国人の男性が歌っていた気がする。
子供心にも
『いくらなんでも、しみじみドリンキンってことはねえだろ?』
と大いにツッコミをいれたものだ。
そこはどうしても[しみじみ]でなければならんかったのか?
と、しみじみの英訳を調べてみると、[keenly]と書いてキンリィーと発音するそうで、だったら
『キンリィードリンキン』
とかでいいのではないかと思う。
が、[keenly]を和訳してみると、鋭くとか、激しくとか、熱心にといった意味らしく、[しみじみ]とは少し違う気がする。
なので、かの舟唄 英語バージョンの訳詞者は仕方なく、しみじみドリンキンとしたのであろうか?
というか、果たしてあの歌、なんだったんだろう?
で、調べてみました。
A boatman’s song
タイトルは、ずばり A Boatman’s Song
ボートマンズソングって!
で、冒頭の歌詞はこうくる
Sake a little warm is the best
sakana a toasted squid is fire
って、[しみじみ]に限らず、酒とか肴も日本語のままである。
その後は
Ladies,the quiet type is the best
Lights softly burnig would be fire
Shimijimi drinking,shimijimily
Only memories go on by
と、こうなっておる。
で、元の阿久悠の作詞の二番以降は歌詞は
♪しみじみ飲めば、しみじみと
ではなく
♪ほろほろ飲めば ほろほろと~
♪ぽつぽつ飲めば ぽつぽつと~
であり、かのBOATMAN’S SONGでもやはり
♪ほろほろドリンキン ホロホロリー
♪ぽつぽつドリンキン ポツポツリー
と訳しておった。
歌っているのは誰だ?
私はこれまで外国人男性が、舟唄に心を打たれ、リスペクトのあまり
「どうしても英語で歌いたい!」
と英語バージョンをリリース。
広告代理店の目に留まりCMに起用されたものとばかり思い込んでおったが、調べていくと、あなたが勘づき始めた通り、
「リスペクトどころか、ほとんどなめてんだろう?」
と言う感じである。
で、歌っているのはなんと日本人!
というか梶原しげる!
なにー?
当時、ラジオ局のアナウンサーであった氏が、
「英語演歌家元」
と称して出した企画物の歌らしい。
で、CMは宝酒造の「宝正宗」CMソングであったとのこと。
だったらもっとおちゃらけた感じのCMにしろよ。
かっこいい感じのCMだったから、お笑いソングだなんて気が付かなかったよ、まったく。
つりばんど 岡村
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