もくじ
Nへのジェラシー
残された我々は、どうにもこうにも腹が立つ思い。
別に貯まり場を確保したかったんじゃない。
女子高生と交流を持ちたかったのである。
だいたいNは、身長はあくまで小さく、武田鉄矢のような顔をしておる。
だいたいが女などにもモテる要素が一切ないというのに商業高校へ進んだというだけでバレンタインにチョコレートなんぞを貰い
ホワイトデーのお返しに何か気の利いたものでも買おうと、今は無き
〝ファンシーショップ〟
なんぞに入っていったところを、運悪く私が発見。
私もNに続いて、こっそりファンシーショップへ入っていくと、
Nがクッキーの入った小瓶なぞを口半開きで品定めしているところを目撃し、
気持ちが悪くなって、Nに声をかけぬまま出てきた。
その一件以来、私はNに腹に対して据えかねるところがあったのである。

※写真はファンシーショップ
残された者たち
しかし、Nはもう家から出て行ってしまったのである。
まさかこのままN宅で遊んでもおれず、勝手に出て行ったNをなんとか辱めてやろうと思案を巡らす。
ギターのKは、絵にかいたようなギタリストで高校生ながらバカテク、且つ、細身で長身で二枚目というNとは対照的な男。
且つ、バンド内でも一番クレージーな男である。
Kは普通科に通っているが、クラスの暴力的なヤツに腹を立て
「湯気が立っていなければ意味がない」
と、意味不明なことを口にしながら学校に炊飯ジャーを持参。
見つからないように、そいつの上靴に炊き立てのご飯を敷き詰め、真ん中に梅干しを置いて日の丸弁当を作った伝説を持つ男。
そのKが持前のクレージーさを炸裂させて
「こうしてやる!」
と言って、Nの部屋の中にある物を部屋の真ん中に寄せ集め、マンガ本やらなんやらを塔の様に積み上げていく。
我々もそれを手伝い
「帰ってきたら、部屋にトーテムポールがあるという寸法だ」
「ざまあみやがれ!」
と言いながら天井まで届きそうな、タワーが出来上がり、頂上にはプラスチック製のハロウィンのカボチャを置く。
「これだけではインパクトに欠ける」
として、卒業アルバムをコンビニに持ち込み、Nの顔を大量に拡大コピー。
それに画びょうを指しまくったものを、部屋のあちこちに貼り付けたのである。

※写真はトーテムポール
エスカレートする若者たち
「これだけやっておけば、今後は、我々コルレオーネファミリーに逆らえまい」
とNの家から出ていこうとするが、我々の悪ノリもエスカレートしてきており
「これだけでは、まだまだ腹の虫が収まらん」
と
「ライブ会場で、女子高生の前で、恥をかかせなければ意味がない!」
と、昔からNの部屋にあり、タワーに刺してあった
〝祭〟
と書かれた、赤いでっかいウチワを抜いて、それを持ってライブが行われている公民館に向かったのであった。

(つづく)
つりばんど 岡村
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