もくじ
おぼえた言葉を、すぐに使いたくなる困った上司
何年か前に『声に出して読みたい日本語』という本がベストセラーになったことがある。
これと同じ考えなのか、人が話してはじめて耳にしたワードが気に入ると、それをすぐに声に出して使いたがる上司がおる。
ちょっと聞きかじった言葉を気に入り、使いたくなってすぐに言う。
『その言葉、カッコいい』
『声に出して言いたい!!!』
と思って使うのである。
すぐ言うだけなら構わないが、昔っから知っていたように、今まさにそれを自分が言う予定だったかのように使うので腹が立つ。
会議の席で
部下のひとりが
「これはマストでお願いしたいのですが」
と言うと
『。。マスト。。どっかで聞いたことがある。。』
『。。。かっこいい。ワシも使ってみたい。。。』
と思い
「君のいうように確かにマストでやらねば意味がないな!」
「ヌハハハッ」
などと抜かす。
そんな腐れ上司が
「イニシアチブ」
とか
「エビデンス」
などと耳にしようものなら
「そりゃあそうだ!みんなイニシアチブ精神にのっとって、楽しいエビデンスを頼むぞ!」
「ガハハハッ」
などとさっそく使いだすが、意味がよく分からずに使っているので、聞かされている方も訳が分からなくなるのである。
カタカナだけでは収まらない
使いたがるのは、カタカタ用語だけではなく、もちろん日本語でも同様である。
会議の席で部下が
「泥臭くいきましょう!」
などと発言すると
『。。。〝泥臭く〟。。。』
『。。昔、青春ドラマで聞いたことある。。。。』
『中村雅俊になりたい!使いたい!』
と思い
「そうだそうだ、泥臭くいこう!」
「それが青春ってもんだろう?」
「ところで諸君!青春ってなんだ!?」
「とにかく何かをはじめよう!レッツビギン!」
「ヌハハハッ」
などと話し合いの流れに関係なく、ただ言葉をつかいたいだけで使いだす。
更には
「丸投げ」
「青天井」
などと聞こうものなら
「昔、猪木が藤波に、丸投げからの青天井で勝ったことがあるんだよ」
「あの試合は、燃えたなあ~」
「ドフフッ」
と言って会議は収拾がつかなくなり、後日、そいつ抜きで同じ議題で話し合わなければならず二度手間である。
すぐ言う上司のその後
やがてそいつは会議に呼ばれなくなり、仕事も引き受けることもなく、暇でどうしようもなくなる。
職場へ来ても日がな一日やることがないが、自席にボーっと座っているといかにも暇丸出しである。
それではまずいと、職場内をほっつき歩き、そこらで飛び交っているワードを収集していく。
一通り収集が済むと、みんなが一生懸命仕事をしているところへ用もないのに
「お!今日も落とし込んでるね~」
「やっぱり、課長マターのミッションはペルソナ的にもタイトなんだよなあ」
「君も粗利をサマリーしてハレーション的にゼロベース」
「アナウンスに色を付けて明日に向かって五月雨式だ!」
などと話しかけて回り、仕事をしているアピールをしているつもりで醜態をさらして回るのである。
勘違いした部下
何を思ったのか、この上司に入れ込んでしまった頭の悪い部下がおり、結婚して男の子が生まれた機会に、この上司に名付け親になってもらったところ、リスケ君と名付けられたそうである。
つりばんど 岡村
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