それは中学の同級生
中学に入学したときの話。
別の小学校から入ってきた同じクラスになった当時で100キロを優に超える体重の男子がおり、彼の小学校時代からの友人は彼のことを
「ブーコー」
と呼んでいる。
や、これいじめでしょ?
と思ったので、そんな呼び方はやめようと提案するが
「別に悪気があってそう呼んでいるのではない」
「彼は親からそう呼ばれている」
と飛んでもないことを言う。
ウソつきやがれ!と思っていたが、その後、彼と親しくなって彼の家に遊びに行くと本当に母親が階段の下から我々のいる二階の彼の部屋に向かって
「おいブーコー!」
「友達にお茶持ってけ!」
と本当にブーコーと呼ばれていたので、素直にボクも
「ブーコー」
と呼ぶようになった。
ブーコーもブーコーで自分ちのじいさんのことを
「おい、しげお!」
と呼んでおり、呼ばれたじいさんも
「おう、ブーコー」
「ビーフジャーキー友達に出してやれ」
とブーコーの家はとても金持ちで豪邸に住んでいたが、金持ちは金持ちでなんかざっくばらんというか、バランスが崩れているというか、いろいろと複雑なのかもしれないと子供ながらに思ったものである。
ブーコーの腕力
※写真はブーコーではありません。この二倍くらいあります。
ブーコーは、とても温厚な性格で、10歳は年上と思えるくらいに落ち着いていて精神年齢も高い上、体がでかく、それに比例して腕力も物凄い。
誰もかなわないがために、力自慢というか、不良界で名を馳せたいバカが
〝怪力ブーコーを倒した〟
という看板が欲しいために、全くケンカをする気のないブーコーに挑んでくることが多々あった。
が、ブーコーは、どんなに強そうなやつでも、どんなに悪そうなやつもかなわずだいたい一撃で戦意喪失させるか、戦意喪失せずに果敢に立ち向かってくるヤツにはお得意のベアハッグで呼吸困難に陥らせすぐに降参させていた。
中には
「腕力はあっても走力はない」
「あいつを倒すには殴って逃げればいい」
などといい、実際にそうしたが、当たりまえに、あとで捕まって、死ぬ思いをさせられている者もいた。
ブーコー大人になる
ブーコーは成績は悪くなかったが、父親が工場の経営者だったので、ボクと同じ工業高校に入ったが、柔道部の顧問からの必死の勧誘から三年間逃げ続けた。
卒業後、こちらが上京したこともあってだんだんと疎遠になったが、ある日、なんの用事か忘れたが、電話をくれたことがあった。
たまたまそれに出られず、留守電が吹き込まれていた。
再生を押すと
「もしもし」
「ブーコーです」
「また、電話しま~す」
と言って切れた。
懐かしさとともに
「自分でブーコーっていうなよ!」
と突っ込まずにはいられなかった。
ちなみにブーコーは現在、激痩せし、超スリムです。
つりばんど 岡村
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