新幹線とき311号 あなたならどーする? 後編

車掌さんの切符拝見!

 

最前列の自分の番が過ぎ、いよいよ私の後ろの席の番となる。  

 

すると車掌さんが  

 

「切符をお持ちでないのであれば、購入してください!」  

 

と毅然とした態度で言ったのである。  

 

(怖わあ)  

 

と思うと同時に、  

 

(自由席の切符で指定先車両に来たのではなく、切符自体をもっていなかったんだ)

 

(どうやって入ってきたんだ)  

 

と思った。  

 

 

車内清算は現金のみらしい

 

  一番の弟分と思しきお兄さんが

 

  「じゃあ、払いますよ!」  

 

といって 車掌さんにお金を支払う段になって、車掌から新潟までの三人分の切符代を請求され  

 

「兄貴!この電車、熊谷停まりませんよ!!!」

 

「何~?!!!」  

 

と大声になり  

 

「じゃあ、司会はいったいどーするんだ!!」  

 

と怒鳴ったのである。

 

  (何の司会だよ)

 

(晴れ舞台ってなんだ??)

 

  と思っていると、弟分のお二人がデッキに出て行って 携帯であちこちに電話して平身低頭しているのが見える。  

 

(この後、弟分さんは怒られるのかなあ)

 

  などと思っているところへ、弟分のお二人がお戻りになられ あれこれ都合をつけた旨を兄貴分さんへ報告している模様。  

 

兄貴分さんは寛大で

 

「まあ、仕方がねえや」

「新潟駅で温泉でも入って帰ろうや」

 

と言ったのを聞いて

 

(新潟駅を雪に囲まれた、囲炉裏とか雪のカマクラなんかがそこら中にあるところと誤解してねえか?)

(新潟駅には温泉なんかねーぞー?

 

と思うのだった。  

 

で、結局、新潟までノー・リクライニング、ノー・駅弁で到着して体がバキバキになりました。

新幹線とき311号 あなたならどーする?

朝の上越新幹線

 

何年か前の日の朝、用事で出かけた東京から新潟へ来るために東京駅から新幹線に乗ったのだが、自分の指定席は進行方向に向かって最前列で、足を延ばして座れるなと、楽しみにしていたら、その席に明らかに反社会的勢力と思われるお方がお三方で座っておられる。

自由席の切符で指定席車両に乗ってきたと思われる。

社内はガラガラだったので別の席に座ろうとしたが、このあと乗ってくる人とバッティングしたら私が注意されかねない。

 

まあ、一応、お相手の方たちの機嫌を損なわぬように

 

「あれ?」

 

という顔をさりげなくしながら、

 

「この辺になんか落とし物なかったですかね?」

 

という動きで

 

「あっしが悪いのは百も承知なんですが」

「あっしごときがすいやせん」

 

といった自分を卑下する風情でこっそりウロつくと、一番の兄貴風のお方が

 

「あれ?ここお兄さんの席か?」

 

とお気づきになられたので、

 

「いや、あれ?そう?そうかな?」

「なんかそうみたいです。すいやせん」

 

などとしどろもどろになりながら答えると

 

「いやいや、ごめんごめん!」

「おら、お前ら移動しねえか!」

 

と、後ろに一列ずれて私の背後に座る形となった。
リクライニングなど倒せるはずもない。

 

 

座席をお倒しになられる際は…

 

(針のむしろとはこういうことを言うんだろうな)

 

と思いながら、楽しみに買ってきた駅弁も取り出しにくく

 

(困ったなー)

 

と縮みあがっていたら大宮についた。

お三方が大宮で降りてくれないかと願う。

「今日は晴れ舞台だからな」

「ガハハハッ」

という会話が聞こえてくる。

仮に、お三方が降りられなくても、大宮を出れば新潟まで直通となるので、大宮を出たら、また、さり気ない感じで荷物をもって別の車両に座らせてもらおうと決めた。

 

まもなく新幹線は大宮を離れ、一路新潟へ。

しかし、急に荷物を持ってたちあがるのもお相手の機嫌を損ねる可能性が高い。

(一番のタイミングを見つけねばならん)

(さりげない演技をしなければならん)

 

と思っているところへ車掌さん登場し、

 

「切符を拝見いたします」

 

と言う。

 

あれあれ、この後、どうなっちゃうの?

車掌さんは適当に座っているこのお兄いさんたちをどう対処するの???

 

と半ば怖いもの見たさもあり、切符のチェックの行方を見守ることにしたのである。

 

 

(つづく)

【あなたは大丈夫?】 老化現象の自己診断 (女性編)

のべつ幕なしおばさま

 

一方、お母さんであるおばさんは前回書いたとおり70がらみの人なのだが、のべつ幕なしに話し続けている。

店に入ると、やや歯の抜けた感じで         

 

「ハイいらっさーい、今日はいいお天気ですね、ハイ、いらっさーい、
ナナコカードが便利ですよ、ハイいらっさーい、
今日は洗濯物がよく乾きそうね、ハイいらっさーい、
おでん全品70円セール実施中!おでんがたったの70え~ん!」

 

などとひっきりなしにしゃべっている。

 

店に入ってから、商品をみて回り、レジにもっていって、支払いを済ませ、店を出て行っても話続けている。

 

またレジで商品のバーコードを読み取っているときも商品一つ一つに対するおばさんの感想なども添えつつ話しまくる。

 

「はい、いらっさーい、まあ、ガリガリ君あまそうねえ~(ピッ)、おでんが全品70円ですよ?
 まあ、コンビーフ、懐かしいねえ(ピッ)、はい、いらっさーい、ナナコカードが便利でーす」

 

と休みなく続き

 

「おでん全品、70円セール実施中でーす、おでんがたったの70えーん、

 はい、いらっさーい、
 はい合計で970円、千円からのお預かりで、お釣りがたったの30えーん」

 

とよく聞くと結構失礼なことを言っているのである。

そう言いながらおまけのチオビタドリンクなどをこっそりとレジ袋に詰め込む。

そこを、おじさんは苦虫を噛み潰したような表情で、横目でみているのである。

 

マシンガントーク熟女

 

こういうのべつ幕なくしゃべり続けるおばさんは、ここまでひどい例ではないにしても身近なところにも結構いる。

妙齢の女性諸氏は、自分がそのような状態に陥っていないか自己チェックしてみることをお勧めする。

 

 

さて、コンビニのおばさまだけではなく青森で仕事をしているときにはWさんというおばさまがいたのだが、この人がまたマシンガントークだった。

 

「まあ、今日は岩木山が男前に見えるわ、五所川原からの岩木山が一番カッコいいわ、
 今日は子供に乗せってってもらって、買い物にいかなきゃいけないんだわ、
 白物家電を買いにいくんだわ、誰か白物家電に詳しい人いないかな?
 こんなに買い物ばっかりするからいつまでも仕事しなければいけないんだわ、
 それにしても今日も岩木山が男前だわ」

 

と一人で延々話続けているのである。

休憩室などでは問題はないのだが、仕事の現場でもこれが続くので業務の妨げになると周りからも苦情が出始めたので行きがかり上、私と後輩の女性とでWさんに注意をしなければならない運びとなった。

 

「Wさん、独り言が多いので、ちょっと我慢しましょう。」

 

「はい」

 

「Wさん、これは私や職場のために言っているんじゃないですよ」

 

「わかってます」

 

「だからといって、Wさんのためにも言っているわけではないですよ」

 

「え?」

 

「Wさんのご家族のために言っているんです」

 

と言ったら同席の女性から

 

「どーゆー意味ですか!」

 

と軽く怒られてしまった。

【あなたは大丈夫?】 老化現象の自己診断 (男性編)

家族経営のコンビニ

 

昔住んでいた街のコンビニは、路地裏にある小さな店舗で、熟年夫婦とその子供たちとの家族経営のような店だった。

母親であるおばさんは70がらみの人なのだが、私を不憫に思うのか買い物をすると黙っておまけの商品を袋にねじ込んできてくれる。

「悪いから」

と断っても、無理にレジ袋に投げ込むようにしてくれていたのだが、父親であるおじさんの方が、それをちょこちょこ見ていたのだろうか、私に対してジェラシーを燃やし、ことあるごとに私に冷たく当たってくる。

例えば、商品を提出し、清算が済んでもおじさんはピクリとも動こうとしない。

仕方なく

「あ、袋結構です」

と言うと、店中に響き渡るようなとてつもなく大きな声で

 

「助かりま~~~~~す!!」

 

と叫ぶので、ビクッとなる。
そのまま商品を掴んで店を出てくる。

 

お弁当を買っても同様で、清算が済んでもやはりピクリともしないので、

 

「あの、お箸結構です」

 

と告げると、同じように店中に響き渡るようなとてつもなく大きな声で

 

「助かりま~~~~~す!!」

 

と叫んでようやく袋に入れてくれるのである。

男性諸氏は年を重ねるごとに嫉妬深くなるそうである。

わが身を顧みて、無駄な嫉妬にかられていないかくれぐれも注意していただきたい。

 

嫉妬にかられた熟年おじさま

 

こっちとしては、別におばさんを狙っているはずもなく、おばさんが断っても袋にねじ込んでくるのである。

そんなコンビニ生活が数年にも及び、邪険に扱われる筋合いはないので、内心腹が立ち、なるべくおじさんとの会計手続きを避けていたのである。

ある日、インスタントの春雨スープを買おうとしたら、運悪くレジ係はおじさんである。

仕方がないので提出し、清算が済む。

私の我慢の限界にきているところへ、おじさんはどこか意地悪そうな顔をしながら

 

「スプーンでいいかな~~~?」

 

と来た。

 

 

「あのなあ…」

「スプーンで春雨が食えるか!」

「ふざけるんじゃねえ!」

 

とレジ横のおでんの鍋を持ち上げておじさんの頭へ

 

 

ズドドドドドーーーーーーッ!!!

 

 

などとできるはずもなく割と小さな声で

 

「あ、箸で」

 

と言った。

 

(女性編へつづく)

【詐欺に注意!】 最近増殖中のポスター

今時、こんな詐欺広告あるか?

 

というものを見つけたので報告します。

 

まずは写真を見てみてください。

 

 

書いてある内容は、

 

・男性求人 稼ごう 高収入

・お金持ちの美熟女の簡単なお手伝い

・ダブルワークOK!空き時間でOK!

・若年からシニアまで

・礼儀正しい対応のできる人

・一週間に2~3時間の空き時間でOK

・年齢18~70歳くらいまで

・誰でも簡単にできます

・お仕事をおこなう場所は内容によって異なりますが、原則としてお申込み頂いた男性のお住まいから車で一時間以内となります。

【仕事内容】

レジャー・スポーツ・映画鑑賞からお食事、ドライブ、旅行同伴、マンション等のお掃除、お庭のお手入れ…

趣味のお付き合い、悩みごとの相談、引っ越し、日曜大工からお買い物の同伴、生活全般の雑用から介護まで。

・お祝い金5万円プレゼント中

男性の優しさを求めているお金持ちのご婦人を、お申し込み後すぐに御紹介が可能です。

 

などというもの。

ここまでツッコミ所が満載だと、いったいどこから手を付けていいのかわからない。

というかツッコむ気を削ぐ。

 

 

 

応募するとどうなるの?

 

こういうの本気にして電話しちゃう人いるのかなあ?

いるんだろうなあ。

昔はこういうの、電話ボックス(懐かしい)の中にホテトル(懐かしい)のチラシに紛れて貼ってあったが、未だにあることに驚く。

これに電話すると

「一旦折り返すから電話番号を教えて」

という流れとなり、個人情報を根掘り葉掘り聞かれた上で、

 

「美熟女を三名紹介するので紹介料を30,000円程度支払が必要」

 

「でもすぐに元が取れる」

 

「第一、仕事が完了すればお祝い金の50,000円が入るので、何の問題もない」

 

という流れになっていく模様。

礼儀正しい対応ができる人が条件ってところも、後でもめ事になった時にすごんで黙らせるためなのかもですね。

明らかに詐欺なので、周りで応募しようとしている人がいたら止めてあげてください。

 

「本当に男性の優しさを求めている美熟女を知っている」

 

という人は紹介してください。

 

 

 

 

 

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 4/4 完結編

いよいよ合コン

 

思わぬ寄り道で、21:00ギリギリになったが、幸い相手側はまだ来ておらず、時間に遅れることなく店に入ることができた。

 

フスマを開けて用意されていた個室に入ると、件の後輩(もうヤツと書きますね)が、奥に入っていき壁に背を付けてドカッと座る。

 

「こういう時、俺たちがフスマを背にして座っておくべきじゃないの?」

 

と言うと

 

「ああ、そうか、最近、会社の飲み会では役職の関係で上座に座らせられることが多かったからなあ」

といい、フスマを背にして座りなおす。

いかんいかん

えっへん

とでも言いだしそうな、言い草である。

 

(バカが!)

 

と思いながらオッサン二人で横並びになっていると、ヤツが斜め上をみたままの形で、ポケットから何かを掴み、私の方に向かってテーブルの上をスライドさせるように

 

「あちらのお客様からです」

 

の要領で、何かを投げつけてきた。

 

 

 

私の目の前にはカクテルではなく、GODIVAのクッキーの小袋が5つ。

これは数日前、職場に札幌の営業所の者がうちの職場に来た際に、手土産に持ってきたものである。

なんで、こいつがそれを今ここで私に投げつけてきたのか?

 

ヤツの真意がわからず、GODIVAのクッキーを見つめ、言葉もなく黙っていると、ヤツは斜め上を見ながら

 

「これ、札幌出張に行ったときの土産だと言って、女性陣に渡してください・・・」

 

という。

 

「は?」

 

 

 

よくわからなかったが、つまりは、

〝札幌に出張するほどの男ですって、まあウソですが、見せつけてやってください〟

〝高級サラリーマンの振りして女性の心を鷲掴みにしてください〟

 

などというつもりらしい。

 

「っていうか、なんでGODIVAなの?」

「花畑牧場とか白い恋人とかならわかるけど?」

 

といったが、ポカンとしている。

『GODIVAってなんだべ?』

という顔をしている。

更に

「GODIVAは新潟にもあるだろ」

「で、お土産なら普通、箱で渡すだろ」

「なんでお土産をバラでもってこなきゃならんの?」

「っていうか甘いもので女心は鷲掴みにできるものなのか?」

 

と詰問したが、さらにポカンとしている。

 

『札幌に出張に行く男って、女心を掴めるべ』

 

とでも言いたそうである。

 

(バカが!)

 

と思う。

 

 

いよいよ女性陣がやってきた

 

狐につままれた表情とは、今のこいつの表情のことなんだなと思いながらあきれているところへ女性陣がやってきた。

 

が、相手も私をみる表情からして今回の話はなかったことにしようというのがありありとうかがえる。

こうなれば、今回はこの会を無難に楽しい思い出で終わらせよう。
なるべく私は〝粋〟に済まそう。
会計は、女性陣が気が付かぬうちに済ましておいて、スマートな感じで解散なり二次会に行こうと決めた。

 

女性陣がさっそくメニューを見た直後、見て、何にしようかほんの2秒ほど考えたところで、ヤツが

 

「あ!」

 

「言~っときますけど~!」

 

と節をつけて言い放ち、

 

「今回の支払いは我々男性陣で持ちますから!」

「遠慮せずにドンドン!」

 

と抜かす。

 

今、メニューみたばかりだし、別に遠慮してねーし、高い店でもねーし、無粋極まりないわー

と赤面する思い。

 

で、会話はヤツが主体となり、主に仕事の話を、自分たちが務める会社がいかに大きくて、将来的に安定しているかを、ウソ、大げさ、紛らわしい の広告だったらJAROに相談するレベルの脚色で話して聞かせ、話のまとめでは必ず

 

「ねえ?岡村さん」

 

と私を共犯にしていたが、酔いが回ってからは

 

「そうですよね?アニキ」

 

と柄の悪いところが噴出。

もうこいつとの合コンはコリゴリだと思いながら会は進行。

会計の段になるとベロベロになって、呂律の回らない口調で

 

「アニキ、すいません、金かしてください!」

「給料日には返しますんで!」

 

と言う。

 

何が、ここは男性陣が持ちますだこの野郎、金も持って来てねえんか!

 

と思う。

で、二次会に行って解散した。

その後も、アニキ、アニキと口ばかりのヤツのこの後の行動はどんどんエスカレートしていったのだが、具体的な行動は、本人も記憶がないと言っている上、著しく本人の社会的地位も剥奪しかねないため、割愛します。

 

 

数日後

 

後日、久々に職場で彼と顔を合わせた際、

 

「アニキ、合コンの金の件ですが、後日ちゃんと清算しますんで!」

 

と言ってきたので

 

「金の清算はもういいから」

「お前との関係を清算したいわ」

 

といったのは、あながち冗談ではなかったのだが、半年後の今日も彼はそれがわかっていない模様である。

 

 

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 3/4 古町編 

ようやく居酒屋へ

 

仕事が終わり、二人して店へ向かい、時間よりも15分ほど早く店の前についた。

件の後輩は相変わらずウヒョついておる。

ウヒョつくどころか、ソワソワし出して

 

「アニキ!店入る前に、どっかで一杯ひっかけていきませんか?」

 

などと言い出した。

 

「一杯飲むって、今から一杯飲むんだよ?」

 

「いや、だからその前にビールだけ一杯!」

 

「まあ、別にいいけど、もう相手の人たちくるんじゃない?」

 

と言ったが、耳に入っていないらしく、一人でズンズン歩いていき、よくあるTVが点いている小さな居酒屋に入っていく。

ドカッと席に座ると

 

「生二つ!」

 

などと勝手に、且つ横柄に言い、出てきたおしぼりで顔をゴシゴシと拭く。

おしぼりを首に回して、うなじから耳の中まで、ゴッシゴシゴッシゴシと拭く。

この男にランニングシャツがどうこう言われたことが腹立たしい。

 

顔を拭き終えると、出てきたビールを一気に飲み、叩きつけるようにジョッキを置くと

 

「よしっ!」

 

と言い

 

「ゲフッ」

 

などと漏らしてレシートを掴んで立ち上がり、出ていこうとする。

 

私はまだ一口も口をつけていなかったので、慌ててビールを飲み、後輩を追いかけるようにしてレジへ行く。

で、きっちり割り勘。

 

チャカつき続ける人

 

「よく、一杯だけのもうなんていって誘われることあるけど、本当にこんなに一杯だけなんて、お店の人も驚いていたろうね」

 

と話しかけるが、こちらの話は全く耳に入っておらず、上の空で、ジャケットやズボンのポケットというポケットを叩いたり、かき回したりしながら

 

「えーと、タバコを買っとかなくちゃいかんな」

 

とつぶやき、タバコ屋を探してキョロキョロしている。

タバコ屋は彼のすぐ背後に有ったのでその旨を教えると

 

「ああああ」

 

などと言いながら

 

〝そんなことは言われなくても、そもそもわかってますよ〟

 

というような表情をし、自動ドアにぶつかりながらタバコ屋へ入っていき、タバコを買うと、転げ出るように、再び自動ドアにぶつかりながら出てきた。

 

で、タバコに火をつけて深く吸うと、待っていた私に対し、

 

「アニキなんか緊張してるみたいですね!」

 

「って、おめえだよ!!!」

 

と一喝して、ようやく待ち合わせの居酒屋に入っていったのである。

 

(つづく)

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 2/4 笹口編

突発的な居酒屋の予約

 

さっそく目ぼしい居酒屋に電話するが

 

「満席です」

「個室でなければ」

 

という返事。

中には

「年末の金曜の21時に、前日に個室の予約など、気でもおかしくなったのか?」

と言わんばかりの対応をするお店もあり、讃嘆たる思い。

しかし一店舗だけ、駅からは遠くなるものの、

 

「なんとか9時に前のお客の宴会が終わる予定」

「9時を過ぎて少ししてから構わないなら」

 

というお店があり、どーにかこーにか携帯電話に向かって土下座するように感謝して個室を確保してもらうことが出来た。

 

これで、出来ぬ男から一転、出来る男の烙印を押していただけると、胸をなでおろそうとしたが、

 

「いや、明日、店が見つからなくて迷ったりしては出来ぬ男の烙印を押される」

「下見だ!」

 

と、仕事終わりに一回、翌朝の出勤前に一回、合計二回の下見をしにいったのである。
我ながら涙ぐましい。

 

 

決戦の金曜日

 

さて、迎えた当日、いつものように働き、就業時間が近づいてくると、件の後輩がソワソワしだす。

 

「顔の脂をとるウェットシートありますか?」

 

とか

「整髪料持ってませんか?」

 

とやたら聞いてくる。

この日に備えて持ってきている自分も自分だが、それらを貸してやる。

 

また、何かにつけて、用事もないのに私のところにやってきて、

で、

 

「アニキ、今日は仕事の話はなしで!」

 

などと言ってくる。

そんな席で仕事の話なんかしない。

 

ちょっとするとまたやってきて

 

「アニキ、相手のことを気に入ったかどうかのサインを決めときましょう」

「会話の中に、なんとなく相手の点数を織り込んで話してください!」

そんな高等テクニックは持ち合わせていない。

しばらくすると、またまた思い出したようにやってきて

 

「アニキ、残念なお知らせがあります!」

「何?」

「アニキ、今日、ランニングシャツ着てますね?」

「ランニングっていうか、Yシャツの下はノースリーブの下着だけど」

「ブー!(不正解の音のつもりらしい)」

「女の子は、ランニングシャツはおじさんっぽくて嫌いなんですよ~」

 

ややムッとして

 

「じゃあ、ジャケット脱がないからいいだろ」

 

と言うと、ちょっとニヤけて

 

「じゃあ絶対、ジャケット脱がないでください!!」

 

ビシッ

 

という感じで、私の顔に向かって指をさす。

 

 

だんだんむかついてきたが、その後、コンビニでTシャツを買って着替えた自分にも忸怩たる思いがした。

(つづく)

【40代のリアルな婚活】 泣き笑い合コン劇場 1/4 女池編 

今から半年前

 

2016年の年末の話。

五歳下のなぜか私をアニキと呼ぶ職場の後輩が

「もうアニキもいい年なんだから、ここらで真剣に結婚を考えたらどうですか?」

「考えるもなにも相手もいないのに何を考えるの?」

「いや、俺も何のアテも無にこんなことを言いやしませんや~」

と急に下卑た口調で話してくれた内容によると、その後輩が数日前に行った中学の同窓会で、婚活中の女性と知り合いになり、私がいつまでも独り身でいることを思い出して、その女性とのコンパを設定してくれるという有難い話。

相手も二人組でくるらしい。

後輩は既婚者だが、どういう目的でコンパにくるのかは、私には今ちょっと思い出せない。

とうに結婚を諦めた私にとっては半ば今更感もあったが、自分から求めた縁ではなく、こうした他人から持ってこられた縁というのは

 

「何かの引き合わせかもしれない」

「神無月に出雲で神様連の会議で、いよいよ私の番が決まったのかもしれない」

 

と、後輩には

 

「まあ、会うだけ会ってみるよ」

「君の顔も立たんだろうし」

 

などと口ではいっても、鼻の穴は冠のジロちゃん状態。

 

「だったら善は急げってやつで!」

「相手はクリスマスまでに何とかと言ってますんで、早いとこ決めちゃいましょう!」

 

と、話はとんとん拍子に進み、数日後の金曜、夜9時に会は開かれることとなった。

 

悪い癖とは知りながら

 

まず、こういう時にしてしまう私の悪い癖なのだが、一人で勝手に計画が暴走すること。

この時も、あれこれ考えていると

 

「というかこんなアパートで暮らしているわけにもいかんな」

「二人で住める物件というのは一体いくらぐらいが相場なんだ?」

 

とあれこれ調べるうちにSUUMOだとかHOME’Sだとかという賃貸住宅情報のアプリをダウンロード。
良さそうな物件を見つけたので雨の中を自転車で遠征。

土地勘もなかったので見つけるのに苦労し、二時間半もの間、自転車で物件から職場まで自転車での所要時間を体感したり、バスの時刻表などを丹念に見て回るという、我ながら超ド級の採らぬ狸の皮算用をすることとなった。

 

 

 

明日は合コンの日

 

いよいよ開催が明日となったある日。
件の後輩が

 

「アニキ、店はどこですか?」

 

と来た。

 

「え??!」

「俺が店を予約するの?!」

「ちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょちょ」

 

と肝を冷やす。

今から翌日の年末の金曜日の夜9時に店がとれるのか?

いや、とることはとれるだろうが、どんな店でもいいわけではない。
ここは個室でなければならない。
また、ある程度、おしゃれ過ぎず、下品過ぎず、チェーン店ではなく、雑誌にも紹介されておらなければならず、ぐるなびの星も3.5以上でなければならず、駅近でなければならず、だが私は元々ここ新潟で、そんなに知っている店もなく、だがしかし、ここで店を抑えられねば会う前から

〝出来ぬ男〟

の烙印を押されてしまいかねない。

 

 

 

さて、どうするどうする???!!!!

と焦っていたところへ、後輩が

「アニキ、俺、できれば刺身が上手い店がいいっすねえ~」

と抜かす。

 

なあにをのんきに!

首の骨へしおったろか!

 

と思いつつも必死でホットペッパーを超高速でめくり、目ぼしいページをゴリゴリと折ったりしていったのであった。

(続く)

遂に解明! 有給ではなく、意味なく半休をとる人の心理

忌まわしの半休

 

有給休暇は休暇を一日とっても、賃金が支払われるといったものだが、半休というのは、午前か午後のどちらかのみの出勤。

で、一日分の賃金が支払われ、有給の消化は半日分であるというもの。

 

もともとこの半休制度は

 

「できれば一日休暇を取りたいが、どうしてもその日に片づけるべき仕事がある」

 

とか

 

「繁忙期なので会社の仲間のためにも半日でも出勤したい」

 

などという時にとるものだが、中には何にも用事はないのに、一日休暇をとればいいのに、この半休をとる人がいる。

しかも午後だけ出勤するのではなく、午前だけ出勤する午前半休をとる。

あなたの職場にはいないだろうか?

 

いると答えた人に、さらに問いたいのだが、その人は、割と年配ではないか?

 

なぜなら 、こういう人は、学校が週休一日だったころの、土曜日は午前中だけの授業で帰宅していたころの経験があるからである。

 

そんなのはかなり昔なので、こういう経験がある人はまあ年配である。

 

なんにも用事はないけれど、半休をとる心理について考える

 

用事もないのに有給ではなく、半休をとる心理としては、半日で帰ることのできる、なんとなく嬉しい、明日は日曜日だし、今日は半日だし、今日はドリフターズ観て寝ようという、あの頃の気持ちを味わうべく、ノスタルジックな気持ちを癒すために午前半休をとっている。

 

で、半休で帰るときはいちいち

 

「今日、半休なんで~」

「じゃあお疲れ様~」

 

などと普段はしない挨拶を、ひとりひとりにして回っていく。

この後も勤務する人たちが昼食をとっているところへわざわざ入っていってまで

 

「今日半休なんで~」

 

などと繰り返して居る。

 

心の中では

 

「たとえこの挨拶が午後一杯までかかっても構わない」

 

「この挨拶を受けた人のややひきつった表情をみるために半休とってる!」

 

「この顔をずっとみていたい!」

 

「録画したい!」

 

などという勢いで、昇天の表情をしている。

 

 

ですので、用事もないのに午前半休をとる人は性格が悪いと思って概ね間違いありません。

 

というか、こんなことをいちいち書いている俺の方が性格わるいな。