連行
静寂の世界から急に騒がしくなったこともあり、心臓もバクバクで、当ブログの読者は全員ご存知の教育テレビのばくさんのかばんの、ばくさんの登場シーン状態。
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「バークバクバクバク~!」
(知りません)
パトカーから二名のポリスの方が降りてきた。
セキュリティ会社のおじさんがプールのカギを開け、ポリスの方から出てくるように指示される。
「手を挙げろ!」
「抵抗すると撃つぞ!」
などと言われるはずもなく
〝やれやれ〟
と言った感じで
「署まで同行願おう」
とのことでパトカーの後部座席に乗り込もうとすると
「ちょっと待って」
と言われて、ポリスの方が濡れている私の体で車が水浸しにならぬよう後部座席にビニールシートを敷いた。
私はその上に座り、ドアが閉まり、署に向けて連行されていったのであった。
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事情聴取
署につくと、階段で二階へ上り、ドラマでみるよりは小綺麗な感じの取調室らしき部屋へ通された。
「では調書をとるから」
「はい」
「なんでプールに忍び込もうと思ったの?」
〝漫画を読んで〟
などと答えられるはずもなく、
「・・・暑かったので」
と答えると
「それだけか?」
と言うので
〝工業高校出身なもんで〟
〝青春を取り戻したかったもんで〟
などと答えられるはずもなく、
「・・・ダイエットしようと思って」
と答えると
「家で水風呂入って近所走れ!」
と当たり前のことを当たり前に叱られてしまった。
「最近は変な人間も多くて」
「プールに糞尿などを撒いたりする者もいる」
「お前はそんなことしてないな!?」
「してません」
「今、市長に連絡して起訴するかどうか確認するから」
と言って数十分待たされた。
待たされている間にポリスの方々も、ある程度私がそこまでのワルではないとわかると世間話をしてくれたりするようになった。
部屋に据え付けられている電話が鳴って、主に話し相手になってくれているポリスの方がソレに出る。
「市長は起訴しないそうだ」
という。
〝こんな夜更けまで市長も大変ですね〟
などと言えるはずもなく
「ありがとうございます」
と答えた。
調書完成
さらに数分後、さきほど聞かれた内容が活字になった調書がが机の上に置かれた。
その紙には
「私、岡村〇〇は、平成〇〇年、〇月〇日、〇時〇分頃」
「暑かったのと、ダイエットのため、深夜に市営のプールに忍び込み連行されました」
「深く反省しており」
「今後は、二度と繰り返しません」
などと書かれており、調書に〝暑かったのと〟などと言った通りに書かれていることがおかしかったが、それに署名するよう促され署名をし、釈放されたのであった。
ここ数年、ナイトプールが流行っているが、このような真似は決してしてはいけないのである。
つりばんど 岡村
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