【ぼくのパパはメキシコ人♪】ドン神谷親子の、パパはメキシコ人について考える

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小学校のお昼の放送でよくかかっていたレコードは?

小学校の給食の時間は、放送部による〝お昼の放送〟が流れていたものである。

内容はだいたいどこの学校も、当日の給食の献立や、ラジオドラマ、放送室にあるレコードをかけるといったものが主流。

その放送で、昭和50~60年代にかけてヘビロテされていた楽曲が、

『パパはメキシコ人』

である。

歌詞はこうである。

『パパはメキシコ人』

作詞:ドン神谷
作曲:小野寺康臣

アイヤヤ アイヤヤ アイヤヤヤヤヤ
アイヤヤ アイヤヤ アイヤヤヤヤヤ オーレ!

僕のパパは メキシコ人・・・・・・

・・・・・に、よく似てる オーレ!

(以下、略)

と、あとの歌詞は延々と

「自分の家の父親がまるでメキシコ人のようだ」

と言っているだけのものである。

なんで、この曲が当時、小学校でヘビロテされていたか?

それは当時放送部員だった私が、選ぶのが面倒だし、変な曲だし、なんか昼の放送でいつもかかってるしで、よくわからず、お約束な感じでこのレコードに針を落としていたからである。

少なくとも私の小学校ではだが、他の学校でも似たり寄ったりの理由で私のような放送部員がかけておったのであろう。

ドン神谷&神谷勝也親子

歌っているのは、神谷勝也と、作詞者でもあるドン神谷である。

「神谷勝也と、作詞者でもあるドン神谷である」

などと言われても、誰だそりゃ?って感じだろうが、これはおそらくどっかでスナックかなんかを経営していたパパ、ドン神谷さんと、その息子である、おそらく当時幼稚園児の神谷勝也くんの親子によるダブルボーカル。

といっても、ほとんどは、息子の神谷勝也くんが歌い、ところどころ父親とユニゾンで歌うというものである。

『パパはメキシコ人』を書き起こす

まず、レコードに針を落とす。

ジー…

とアナログ特有の音のあと、パパはメキシコ人といいうタイトルだけあって、まず闘牛を思い出させるような例の勇ましく、且つ哀愁のあるドラムロールと、トランペットのファンファーレ的な音楽が流れる。

その後、

タッタカタッタカタッタカタッタカ
タッタカタッタカタッタカタッタカ

と、バラをくわえたダンサーがカスタネット片手に激しく踊る、まるでフラメンコの音楽のようである。

でいよいよ、歌が始まる。

幼子特有のかわいらしい声である。

アイヤヤ アイヤヤ アイヤヤヤヤヤ
アイヤヤ アイヤヤ アイヤヤヤヤヤ オーレ!

♪僕のパパは、メキシコ人……

(と、ここでタメがあって)

     ……に、よく似てる♪

タイトルで

「パパはメキシコ人」

と言っているにも関わらず、冒頭でいきなり

「僕のパパはメキシコ人!・・・に、よく似てる」

とメキシコ人ではないことを打ち明けてしまうのである。

と思って、レコードジャケットをよくよく見れば

「パパはメキシコ人!」

ではなく

「パパはメキシコ人?」

であり、看板に偽りのないことが発覚。
私の勘違いであった、

「よく、似てる」

で問題ないのであった、すみません。

そう心で詫びた直後、

「そんなことかまやあしねえよ」

「気にするんじゃねえよお」

「ソンブレロかぶってテキーラでも飲もうぜ」

とでも言うように

「オーレ!」

と、神谷親子が揃って許してくれる(ような気がする)。

しかし、〝フラメンコ〟と言い、〝オーレ!〟と言い、それメキシコじゃなくてスペインだよ!

と言いたくなったところで、ようやく歌の本編が始まる。

♪足は短く 太りすぎ

ヒゲを生やした タヌキだよ♪

と、己が父親の容姿を酷評。

♪だけど、みんなは言っている パパは…パパは…♪

お前のパパは、見てくれは悪いが、好人物だと、みんなは言っているのか?

そうか人間、心意気だと言いたいのだな、この歌は

などと思っていると、

だけど、みんなは言っている パパは…パパは…

僕、そっくりだ、オーレ!

と、急な自虐ネタで驚き、レコードの前で全員ズッコケることになる。

ズッコケながらも、よく考えると、

『短足で肥満のヒゲたぬき』

『それに似ていると周りのみんなに言われている可哀想な子供』

となんだか切なくなる思い。

と、そんな気分を吹き飛ばすかのように再び素頓狂な声で

アイヤヤ アイヤヤ アイヤヤヤヤヤ
アイヤヤ アイヤヤ アイヤヤヤヤヤ オーレ!

♪僕のパパは、メキシコ人……

(と、ここでタメがあって)

     ……に、よく似てる♪

と続いていくのである。

2018年現在、この曲はYouTubeなどにもUPされているのでぜひ聞いて欲しい。

ドン神谷さん

で、父親のドン神谷さんについて調べてみると、彼は昭和30年代より活躍するラテンシンガーで、この曲は自主製作版らしい。
彼は、テレビの創成期に スリーバンビーズなるグループでも活躍されたもようだが、その後、ソロになった模様。

※画像はスリーバンビーズ。どれが神谷さん?私の予想では一番手前の人だが?

情報少なすぎてこれ以上わからず。

歌舞伎町で「ドンの城」なるお店を経営していたらしい。

『パパはメキシコ人?』のジャケットはここで撮られたものなのかなあ。

※『パパはメキシコ人?』と同じ作詞・作曲コンビでこのような歌も出されていたらしい。

私の誤解

で、私は上京したてのころ、アルバイト先のピザ屋で流れていたJ-WAVEの番組の、とてもダンディな声のパーソナリティーが

「ドン神谷で~す」

と言っていたのを聞いて

「パパはメキシコ人のドン神谷って、喋ると渋いいい声なんだなあ」

と思っていたのだが、それがドン神谷ではなく、ジョン・カビラの間違いであることを指摘されるまで2年近くを要したのである。

※ドン神谷≒ジョン・カビラ

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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