【アル中と呼ばれて】 アルコール依存症への軌跡 中級編

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きっかけは些細なこと

 

30歳くらいのときの話。

私は下戸のくせに、酔うと調子にのってパーパーパーパー喋るタイプで、
とある飲み会で、職場の先輩であり、酒豪のGさんが、焼酎をロックでガバガバ飲んでいるのを見て

 

「Gさん、俺と飲み比べ勝負しましょう!」

 

とアホ丸出しで挑み、ものの数杯でダウン。

いい年をして床に寝させられたりした。

翌日、目が覚めてみるといつもの二日酔いは無く、いたって普通。

Gさんにその旨を報告すると

 

「カクテルとかそんなのばっかり飲んでるとかえって悪酔いする」

 

と教えられ、私の体は適度に焼酎を飲む程度なら、翌日ボロボロになるほどの二日酔いにはならないと分かった。

 

また、焼酎は不味いので、飲むと食欲は失せるので

 

『ダイエットに向いている!』

 

と思い込み、毎晩、空腹に耐え、寝る直前に〝いいちこ〟の720mlのボトルのキャップに一杯だけ焼酎を飲み、
空腹を忘れ、ほろ酔い気分で寝入っておった。

 

 

アル中は加速する

 

焼酎を飲むからではなく、毎晩夕食を食べないので見る見る体重は減少していったが、

身体が酒に慣れていくので、
キャップ一杯では酔わなくなり、コップ三分の一、コップ半分、コップ一杯、コップ二杯と
わずか一か月あまりで健康診断で叱られるほどの酒量をのむようになった。

 

このあたりになると、どこまで飲むと立ち上がれないほどの二日酔いになり、どこまでならならないかの自分の適量もわかるようになる。

また飲まなかった頃には気が付かなかったが、二日酔いで仕事に来ている人は意外に多くいて

 

「昨日、やからしちまいましてね」

「お互いに、なんぎですな」

 

などというようになり、時間とともに酒が身体から抜けていく快感も味わうようになっていった。

そして、夜が待ち遠しくなり、酒のない生活など考えられない。
休日には用事がなければ、昼から飲むようになる。

また女性と飲みに行ったりすると、必ずといっていいほど相手が先に酔ってしまうので、
その後、会計だとか忘れ物のチェックだとか、介抱だとかをしっかりとして、
酒が強いところをアピールし、多少の畏敬の念も抱かれることになる喜びを感じるようにもなる。

 

また、飲み会があっても、飲み会では浅い酔いかたしかできなくなり、飲み会終わりで部屋に帰ってから改めて一人で飲むように
なったのである。

 

アルコール依存症患者誕生まであと一歩である。

 

(つづく)

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つりばんど 岡村

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。 詳細プロフィールはこちら

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