洗脳~地獄の12年間からの生還~
X JAPANのTOSHIによる著書、その名も「洗脳」を読んだ。
正直言って私はX JAPANについてはファンでなく、楽曲についての知識もほとんどないのだがこの本を読んでもうなんかX JAPANのファンになりましたね。
まず、TOSHIはもの凄くマジメで、且つ言ってることとか表現が面白い!
所々に本人はどう思っているのかわからんが、読んでハラハラしていく中で、随所に人生を賭けた珠玉のギャグがちりばめられていてガシガシ読み進めるので、長距離移動で読書をする際などにお勧めです。
あらすじ
幼友達とバンドを結成し、若くして成功を収めたX JAPANのTOSHIだったが、母親や長兄などとの金銭トラブル、世界デビューに向けたバンド内外からのプレッシャーなどから自らの望んだ成功とはかけ離れたもの。
「何もかも信じられない!」
などと思っていた心の隙間にヌルッと近寄ってきた元共演者の守谷香。
彼女としばしの交際を経てスピード結婚。
守谷からMASAYAなるアーティストの存在を知らされ、MASAYAのヒーリング音楽などに振れ興味を持ったところから、1997年にMASAYA主催のカルト団体(のちのホーム・オブ・ハート)のセミナーに参加。
セミナーはあとから考えればTOSHI以外は全部仕込み。
「世界を救う」などという感動を伴う内容であり、最愛の妻も熱心であり、徐々に「MASAYAこそが正義であり、すべて」と信じ込まされていく。
次第にセミナーは窓の無い部屋での暴力や罵声を伴うものに変貌。
その後は、MASAYAだけでなく、妻の守谷香からも暴力を受け、一人の時間も仕事の合間も携帯などで四六時中、罵声を浴びせ続けられるようなマインドコントロールを受ける。
その後、MASAYAや妻の守谷から
「ビジュアル系などという若者をダメにする音楽を広めたX JAPANは宇宙的な悪である」
などというよくわからん言い草と、強い勧めがありX JAPANを脱退、解散。
この辺りから〝TOSHIの洗脳騒動”がマスコミにも取り沙汰されはじめホーム・オブ・ハートからは
「お前のせいであらぬ疑いがかけられみんな食い扶持がなくなった」
「お前のせいで全員食うや食わずのひもじい生活をしている。金を持ってこい」
と、家族経営の個人事務所も乗っ取られ、12年間休日なしで地方のレコード店や介護施設へ赴き、自らの歌とMASAYAのCDなどの即売会の開催を強要される。
その即売会の売り上げ、消費者金融からの借金、その他もろもろの収入(12年間で15億円)を全部持っていかれる始末。
しかし本人は毎日コンビニおでんとおにぎり1個、飲み物の都合600円程度の食生活、地方では最も安いホテルでの寝泊まり、移動費のみを手渡される状況。
繰り返しになるが休日なしである。
妻は結婚後2年程度で「MASAYAからの指令」として別居。
セミナールーム以外は男子禁制のホーム・オブ・ハート施設内ではMASAYAは複数の女性と一夫多妻にようにハーレム状態で暮らしており、守谷香はそちらで生活し出す。
そこではひもじい生活どころかTOSHIから掠め取った金でやりたい放題で豪遊しておったのだが。
そんなことを知る由もないMASAYAを信じ切っているTOSHIは、10年近く連日連夜の過酷な地方回りと売上金の上納を続けていたが次第に売上が減少。
実入りの少なくなったMASAYAからX JAPANを再結成するよう指示を受けたあたりから
「ビジュアル系などという若者をダメにする音楽を広めたX JAPANは宇宙的な悪じゃなかったんかい!?」
「結局、金目的なんじゃないのか?」
などという疑問を感じ始め、そこからまた何年間、数々の矛盾を感じる中でそれは怒りへと変わり遂に脱走を決意。
が脱走に失敗し拉致監禁。
施設で筆舌に尽くしがたい暴力、罵声を浴びせられるも、今度はそれが逆にどんどん洗脳を解く結果となる。
どこに行くにも監視役が付いて回る状況の中、果たしてTOSHIはどうやって恐怖を断ち切り逃げ切ることができたのか?
という、もうススキノ探偵シリーズを読んでいるような痛快さで、且つ、これが本当に有った話っていうんだから手に汗握るどころじゃない。
次回は感想とネタバレ。
(つづく)
つりばんど 岡村
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